2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Personnel System of Professional Officials in Japanese Government
Project/Area Number |
19K01477
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊藤 正次 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (40347258)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 専門行政官 / 行政学 / 官僚人事システム / 専門性 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる2021年度においては、3年間の研究の総括を行うとともに、今後、研究をより進展させていくための方策を検討した。 まず、昨年度までに引き続き現代日本の専門行政官の制度に関する基礎的知見を確認するため、文献講読・資料収集を行った。具体的には、昨年度に引き続きCIQに携わる税関職員、入国警備官・入国管理官、検疫官等の制度に関する文献調査を行ったほか、法執行に携わる労働基準監督官、国税専門官に関する回顧録や論文の調査を行った。ただし、2020年度までと同様、コロナ禍により、専門行政官に対するインタビュー調査を実施することは叶わなかった。 ただし、文献調査から、日本の専門行政官に修得が期待される「専門性」については、一定の仮説を導き出すことができた。すなわち、日本の専門行政官の「専門性」とは、官僚制内外で通用する高度な専門性というよりも、採用段階では高度な専門性の取得は期待しない一方、OJTを通じた技能形成が期待されるという意味での「中程度の専門性」、独自の人事システムによって「仕切られた専門性」を修得することが期待されている。換言すれば、メンバーシップ型の雇用を前提とする日本の官僚人事システムと整合的な形で専門性の修得が図られていることが改めて確認できた。 こうした仮説が得られたものの、コロナ禍の影響もあって、3年間の研究実績を公刊論文の形で整理して公表することはできなかった。また、専門行政官に関する包括的な研究を行うには、個人研究では限界があることから、本研究テーマを研究分担者の参加を得て共同研究へと展開させることを構想し、科研費・基盤研究(B)への申請を行った結果、採択された。
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