2023 Fiscal Year Annual Research Report
小規模町村の自律と重層的自治体間連携の実証研究：多元・協働型自治の可能性の検討
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19K01479
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| Research Institution | Shimonoseki City University |
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Principal Investigator |
水谷 利亮 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00310897)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 和久 立命館大学, 政策科学部, 教授 (70259654)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 小規模町村 / 自治体間連携 / 多元・協働型自治 / 集権・競争型自治 / 圏域自治 / 圏域行政 / 介護保健福祉政策 / 広域連合 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
現地調査と資料収集としては、長野県の阿智村及び阿南町における県立高校に併設の公的学習塾設置・運営に関する自治体間連携や、日向圏域と延岡圏域といった二重の圏域に包摂された小規模町村の宮崎県諸塚村と椎葉村にとっての自治体間連携のあり方に関して、それら二村と日向圏域の中心市・日向市、延岡圏域の中心市・延岡市、美郷町などにおいて現地調査を実施した。
今年度の知見として、小規模町村の諸塚村と椎葉村にとっては、基盤に各自治体の自律（自立）した自治の取り組みがベースとしてあり、この自治を支えるものとして４層の重層的な圏域において少なくとも８つの自治体間連携・「圏域自治」の取り組みが形成されていた。それらは地域特性や行政の実態、歴史的経過のなかで形成されてきたもので、政策領域ごとに連携の内容や重点が異なり、「圏域行政」などとして集権的に画一的広域化を進めると様々な歪みがでる可能性が高いことが指摘できた。また、中山間地域では県立高校の生徒にも学ぶ環境を整備することも基礎自治体の役割であり、単独事業による施策を自発的な自治体間連携で進めることが求められた。
全体的な知見として、小規模町村の自治にとっては、垂直連携と水平連携による多様で重層的な自治体間連携が自律（自立）した自治を支える要素・条件ではあるが、「圏域行政」とは異なって「圏域自治」が機能するには、中心市や府県に偏った「パワーの不均衡」を緩和・解消して、一定程度対等で丁寧な合意形成の場と自治体間・自治体職員間の信頼関係の構築・蓄積が求められた。多層的な「圏域自治」の取り組みは、小規模町村の自治を支える基盤となるとともに、その圏域で「自治の総量」を高めることにもつながるものであるといえそうだが、そのためには圏域を構成する各自治体議会の「圏域自治」に対する民主的統制の実質化と圏域住民の自治体間連携への関心の深まりが依然として課題である。
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