2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K01480
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
矢尾板 俊平 淑徳大学, コミュニティ政策学部, 教授 (10510951)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地方創生 / 長期政権 / 政治的資本 / 人口 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果の一部を「地方創生施策の中間評価‐都道府県・政令指定都市における人口動態に基づく考察‐」として、中央大学研究叢書『人口と公共政策』(飯島大邦編著、中央大学出版部)で公表した。本論文では、2015年以降の人口移動の側面から地方創生施策について、総務省『住民基本台帳人口移動報告』と『国勢調査』のデータに基づき、都道府県レベルと政令指定都市レベルのそれぞれの状況を把握した。また、地方創生施策に関するWEBアンケート調査結果を踏まえ、政策の需要者である住民目線での地方創生施策の課題を整理した。その結果、都道府県レベルでは、大阪圏の転出超過が減少していること、政令指定都市レベルでは、東京圏以外では、福岡市が人口の「自然増加」及び「社会増加」をしていることが明らかとなった。この点について、次年度にインタビュー調査を実施し、その要因を検討したいと考えている。 また「経済政策と政治的資本‐第2次安倍政権以降の長期政権の背景に関する検討‐」を『経済学諭纂(中央大学)』(第63巻)第5・6合併号にて公表した。本論文では、特に2012年以降の国政選挙の結果を踏まえて、政治的資本の観点から地域間格差も含む地方創生や経済政策の在り方を検討した。2012年以降の長期政権の背景には、低投票率と野党の獲得票数が増加していないことが考えられる。政権与党の自由民主党の獲得票数も増加していないことも明らかであり、「現状を変更する」ほどの選択がなされていないことが見て取れた。本論文も踏まえて、本研究課題の主題でもある地方選挙の状況について、引き続き、検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度も引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響により、ヒアリング調査の実施はできなかったが、2020年の国勢調査の結果も利用できるようになり、データによる考察を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に公表した論文において、人口の観点からは大阪圏の状況と福岡市の状況に、地方創生施策への示唆や、政治的資本等との関係で興味深いと言える。2023年度においては、地域を東京圏、中京圏、大阪圏、北九州圏に焦点を当て、地方創生の取り組みの状況や政治・選挙との関連も調査し、本研究課題における結論を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響でヒアリング調査等が実施できなかったため、2023年度にヒアリング調査や最終的なアンケート調査を実施したい。
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