2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K01480
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
矢尾板 俊平 淑徳大学, 地域創生学部, 教授 (10510951)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地方創生 / 震災復興 / ソーシャルビジネス / こども施策 / こども基本条例 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、東日本大震災の被災地域における復興や地方創生の取り組みについて分析を行うとともに、地域における大学との関係性について研究を進めた。 その内容は、まず東日本大震災の被災地域である岩手県、宮城県、福島県の人口動態について、国勢調査結果に基づき、確認するとともに、東日本大震災から13年が経過する中で、復興をけん引してきたリーダーの顔ぶれも変わってきていることから、その背景について確認を行った。こうした交代の背景には、前任者が引退することによるケースもあるが、少なからず、復興の進捗状況や内容に対して不満やマンネリ感が生じることにより、現職の候補者が選挙で落選するケースも見受けられることを指摘した。また震災復興から地方創生へとアプローチも変化してきている中で、重要な概念として、「ソーシャルキャピタル」、「コミュニティ」、「コレクティブインパクト」の3つがあることを示唆した。 地域における大学との関係性については、成果物として、「大学と地域との連携の方法と可能性―学生の成長と地域社会の利益の両立に向けて―」、『大学地域連携学研究』第3巻、大学地域連携学会を公表した。 この他に、近年、地方創生施策において、こども施策が鍵となり、例えば、千葉県流山市や兵庫県明石市が注目されている。その観点から、こども施策と地方創生施策の関係についても研究を進め、「こどもに関わる条例をどのように作るか‐条例づくりの論点と課題、そしてヒントを考える‐」、『改革者』、2023年12月号、政策研究フォーラムにまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方創生施策の中間評価について、人口問題を軸に考える際に、こども施策の在り方が欠かせない。この点で、全国(特に政令市)のこども権利条例やこども基本条例について調査を行うとともに、人口問題とこども施策の関連について整理することができた。また東日本大震災の復興と地方創生の関連について、福島県内の取り組みについて把握することができたことは、地方創生施策の中間評価としても意味は大きい。また、東北地方沿岸部の首長の交代等の動向についても、研究成果に盛り込むことが出来た。 課題としては、地方創生施策の評価として、首長選挙結果の整理について、分析の視点を再整理し、有効なデータベースにしていくことであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、3点が挙げられる。 1点目は、地方創生施策の中間評価として選挙結果に関するデータベースについて、首長交代と業績の関係について検討を進めていく。その作業を進めるにあたって、都道府県レベルでは全国を対象にするが、市町村長については、一定の人口規模以上の自治体の状況を整理することで、政策的含意を見出しやすくしたい。 2点目は、前回のアンケート調査から数年が経過し、デジタル田園都市国家構想の視点が加わるなど、地方創生施策自体も変化をしてきているので、再度、アンケート調査を実施し、中間評価を改めて実施したい。 3点目は、こども施策について、都道府県レベル及び政令市レベルでのこども施策の内容について整理することで、人口増加等を目標とする地方創生施策の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
近年の地方創生施策の変化や今年度の研究実績を踏まえ、アンケート調査に関する設計を年度後半より進めてきたため、年度内にアンケート調査の実施ができなかった。次年度に、これまで検討を行ってきたアンケート調査を実施するために資金を使用するとともに、ヒアリング調査のための出張旅費を使用する予定である。 また、研究成果の一部を英文で公表するため、英文校正に関する費用としても支出を行うことを予定している。
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