2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Reconsideration on "Subjectivity" in Modern Political Theories through Care Ethics
Project/Area Number |
19K01484
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
杉本 竜也 日本大学, 法学部, 准教授 (30588900)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ケアの倫理 / デモクラシー / 政治主体 / 政治参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究計画の最終年度に該当するため、研究計画全体を総括する内容の研究を推進した。具体的には、政治参加をキーワードとして、本研究のテーマである近現代政治理論の「主体性」に関する再検討を行った。 政治主体が文字通り「主体」として政治に現れるのは、政治参加の場面である。また、政治参加はデモクラシーという社会・政治体制の中核であるため、人間は政治主体としての自らをデモクラシーに顕然させることになる。そのため、政治参加について考察するためには、現代の政治参加に関する表層的な分析だけでなく、デモクラシーやそれを構成する人間に関する本質的な検討が必要である。よって、当該年度の研究では、アレクシ・ド・トクヴィルに代表される従来からのデモクラシー理論における政治参加の研究、次いでジョアン・トロントの政治理論を元にケアの倫理・ケアのデモクラシー理論における政治参加に関する研究、そして現代の日本社会における政治参加に関して天野正子の「生活者」概念を材料とする研究を行った。その研究成果は、「政治参加の意味変容」(『政経研究』第60巻第3・4号、2023年)として発表した。 これとは別に、トクヴィルのアリストクラシー概念に注目して、政治参加の本質について考察した論文を学会紀要に投稿したが、掲載却下の結果に至った。この論文に関しては、内容の再吟味を行い、別途投稿することを検討している。 最後に、本研究計画全体に関しては、その研究内容を総括する書籍の刊行を準備している。内容的には、西洋政治思想の流れの中にケアの倫理・ケアのデモクラシー理論を位置づけ、それに基づいた政治主体とその実践(政治参加)を考察する内容になる予定である。 また、本研究計画の成果物として、ジョアン・トロント『モラル・バウンダリー ケアの倫理と政治学』(勁草書房、2024年)の邦訳が刊行されることになっている。
|
Research Products
(2 results)