• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

Karl Mannheim and British Intellectuals: On the Development of his Idea of "Planning for Freedom"

Research Project

Project/Area Number 19K01488
Research InstitutionSoka University

Principal Investigator

山田 竜作  創価大学, 国際教養学部, 教授 (30285580)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywordsカール・マンハイム / 自由のための計画 / ムート / T. S. エリオット / クリストファー・ドーソン / 社会学的心理学 / 民主的パーソナリティ / レッセ・フェール
Outline of Annual Research Achievements

前年度の研究成果を基に、「大衆社会」と「計画」に関するマンハイムの主張と、「ムート」における主要メンバーたるエリオットとドーソンからの応答(重なり合う時代認識と、「計画」に対する批判)について学会報告を行った。
またそれと並行して、マンハイムの英国期の主要著作『再建期における人間と社会』のドイツ語版(1935年)と増補英語版(1940年)を再検討し、特に英語版で増補された個所がもともと刊行された諸文献にあたることで、この2つの版が出版される間の数年間がマンハイムによる社会学的心理学の深化の時期であったことを確認した。ここで言う社会学的心理学とは、人間の心理やパーソナリティを一般的な「人間性」や個々人の内面に還元するのでなく、その人間が置かれた具体的な社会状況(すなわちここでは大衆社会)との関係で理解することを目指すものであり、それを通じてマンハイムが、大衆社会における民主主義の再建をめぐって、政治制度よりもむしろ民主的なパーソナリティを育成する教育へと関心を向けていくプロセスが見えてきた。
さらには、前述のドイツ語版『人間と社会』ですでに展開されていた、「発見」の段階、「発明」の段階、「計画」の段階というマンハイムの段階論が、同書の英語版で増補された最終章で「自由と計画」をめぐって再論されている個所を再検討した。それを通じて、「計画」の段階たる大衆社会状況における自由がそれ以前の段階の自由とは異なるというマンハイムの発想を確認すると同時に、このような発想を受け入れようとしない英国の知識人や中産階級に対する彼の批判をも検討した。以上から、マンハイムがしばしば「レッセ・フェールから計画へ」という時代診断を語る場合の「レッセ・フェール」が、人為的な計画を嫌う英国人の「muddle through(どうにかこうにかやっていく)」という態度と重なるのではないかとの仮説を得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

英国におけるマンハイムの思想につき、これまでの研究をまとめて1冊の著書の執筆を開始しており、本来なら今頃には下書きが出来上がっているはずであった。しかし、健康上の不如意と、勤務校の新しいカリキュラムに対応した授業準備等のため、執筆は遅れ気味である。全体の構想と章立てはほぼできているが、おおよその執筆が済んでいるのは3つの章にとどまっている。

Strategy for Future Research Activity

本研究の目的である、マンハイムの「自由のための計画」論の展開過程は、これまで収集した資料の検討を通じてかなり明瞭になりつつある。特に、2022年度に勤務校から在外研究の機会を得て英国に滞在する中で、多くの知見を得た。それらを整理・集約しつつ、著書の原稿を書き進めていくことを最優先する。

Causes of Carryover

2023年3月に英国での在外研究より帰国して後、海外での学会発表や資料収集のための渡航の機会が得られなかったため、支出は図書購入にとどまった。本年度はこれまでの研究をまとめる著書執筆に集中するため、新たに必要になった図書の購入や文献複写などに使用する予定である。特に、本研究に関係する洋書で比較的高額なものが出版予告されているので、それらを入手するために使用することとなる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 亡命者カール・マンハイムから見た「英国の使命」――解体する大衆社会の再建としての「計画」をめぐって2023

    • Author(s)
      山田竜作
    • Organizer
      日本政治学会2023年度研究大会

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi