2021 Fiscal Year Annual Research Report
Reshaping public administration and hybrid local government under depopulation: evidence from Japan, the US, and Australia
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19K01490
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
野田 遊 同志社大学, 政策学部, 教授 (20552839)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 広域連携 / リージョナルガバナンス / シェアードサービス |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少自治体の効率的・民主的な行政体制再編の加速要因を明らかにするという研究目的に対しては、主に米国自治体へのインタビュー調査に基づき明らかにした。主たる加速要因は機動的な人的資源の配置や人数のコントロールであり、カウンシルマネージャを中心としてその役割を担っていた。ただし、そうした効率化に向けた改革は市民からの政府に対する信頼や行政サービスに対する評価を背景にして可能となることも明らかになった。すなわち、効率性は民主主義からみた制度改革と同時に検討してこそ有効な行政編成が可能になるのである。 日本全国の市町村に実施したアンケート調査結果からは、地域ごとの人口減少を背景とした地域構造、広域連携の状況、種類別の連携成果を把握した。市町村間の水平的連携は、主に信頼や住民相互の結びつきといった心理的要因がサービスの質や政策対応能力の向上を促進し、都道府県や国といった上位レベル政府と市町村の関係性により、市町村の財政効率の改善効果につながる可能性を定量分析により析出した。さらに、地域別にみたハイブリッド・ガバメントの姿はそのような良好な市町村間関係(水平的政府間関係)と府県-市町村関係(垂直的政府間関係)に規定されることもわかり、それらの改善が地域を再生する行政編成の再編の手がかりであるといえる。 また、オーストラリアの自治体のサービスの調査結果からは、政府間の補完可能性の観点より、各カウンシルとビクトリア政府、オーストラリア政府のサービスに対する住民の評価の要因を検証し、連携に対する態度とサービスの重要性の交互作用による効果を定量的に明らかにした。あわせて、広域的サービスと市民に身近な基礎的サービスといったサービスの種類により有効な政府主体が異なる可能性があること、そうしたサービスの種類に応じた政府主体との関連で、広域連携のバリエーションのあり方が変わってくることも検討した。
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Research Products
(7 results)