2019 Fiscal Year Research-status Report
科学技術はいかなる条件下で「パワー」の生成につながるのか―意思決定プロセスの解明
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19K01497
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
齊藤 孝祐 横浜国立大学, 研究推進機構, 特任教員(准教授) (40721436)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オープンイノベーション / 安全保障 / デュアルユース / オムニユース / 技術管理 / 技術覇権 / 新興技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度となる2019年度は、次のようなかたちで研究体制の強化につとめた。第一に、先行研究の収集とより詳細なレビューを実施し、仮説を整理しなおした。また、科学技術が軍事力や経済力に変換され、行使されることで生じる諸問題について、現在の米中関係やそこでの日本の立ち位置等に係る事例を分析したほか、安全保障分野において民間企業や研究機関がかかわるかたちでオープンイノベーションが進展することに伴って生じる政策変容の様態を検討し、新たな変数の帰納的な抽出も試みた。第二に、当該問題の実証に際して利用可能な資料・情報の予備的な収集を行った。特に、2019年8-9月にはワシントンDCでの調査を行い、主に議会関連資料や公開された政策文書、関連二次資料の収集に注力した。第三に、国内外の関連学会や研究会において情報収集・意見交換を実施し、来年度以降の研究活動につながる基盤づくりを進めたほか、現段階でまとめた学術成果を報告するなど、部分的にではあるが成果を公開に着手することができた。 このほか、まだ中間的なものではあるが、当該問題をめぐる国内外の関心が高まっていることを受けて、関連する実務家コミュニティ等からの要請を受けて調査結果の一部を発表する機会を得ることができた。この機会を通じて、学術的文脈だけでなく、実務的文脈においても意見交換・情報収集を実施し、研究に対してより現場に近い観点から一定のフィードバックを得られたことは、研究成果の社会的波及効果という点でも重要であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は国内外での資料収集の開始と、関連研究者・実務家との情報交換を含む研究体制の強化を実施し、一定の成果を得ることができた。 このほか、収集した情報を部分的にまとめて国内外でいくつかの論文・研究報告を行ったほか、おおむね計画通りに研究基盤の強化を実施することができた。また、社会的要請に応じてアウトリーチも実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は研究の仮説群を再整理することを目指すほか、新たな仮説群の実証に必要な資料調査を追加的に実施し、部分的に研究成果のまとめ・発表を進めていく。調査・研究報告を含めて国内外の出張機会が制限される可能性があるが、その場合には情報の整理を先行させ、再来年度以降の成果公開に耐えうる議論の構築に最大限努める。
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Causes of Carryover |
研究開始時には2019年度末に予定していた海外調査が延期となり、2020年度以降の実施を見込んでいるため。
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Research Products
(4 results)