2021 Fiscal Year Research-status Report
科学技術はいかなる条件下で「パワー」の生成につながるのか―意思決定プロセスの解明
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19K01497
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
齊藤 孝祐 上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (40721436)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イノベーションエコシステム / 人工知能 / コンセンサス / 経済安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、昨年度に引き続きウェブ上でのオープンソース調査を中心に研究を進めることで、一定の成果につなげることができた。 第一に、初年度に引き続き先行研究のレビューと仮説の再検討を進め、安全保障分野における先端技術の管理・利用をめぐる諸問題の整理を行った。現在の新興技術/先端技術は開発するにせよ管理を強化するにせよ、民生セクターにおける遍在性を考慮するかたちで各国政策が展開されており、とりわけ民主主義国家においては技術のあり方をめぐるコンセンサスをいかに形成するかが重要になる。こうした観点から、米国におけるオープンイノベーションの進展がもたらす安全保障上の課題を明らかにしたほか、それと関連付けるかたちで、科学技術が軍事力・経済力に転換されるにあたって必要なエコシステムにおけるコンセンサス形成の問題について分析を進めた。 第二に、これらの調査で得られた知見については、複数の関連学会や研究会で報告を行い、関連研究者からのフィードバックを得つつ、議論の妥当性の検証につとめた。また、実務家コミュニティと研究内容に関連するトピックについて意見交換する機会も増え、理論と実際の間にある問題意識・現状認識のズレという観点からも知見の修正を試みることができた。 第三に、当該問題をめぐる社会的関心が高まっていることを受けて、昨年度に引き続き、一般向けの紙面やウェブ媒体、公開ワークショップ等で、部分的にではあるが研究成果のアウトリーチを進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は在外での資料調査等が大きく制約されたが、ウェブでの調査を中心に、可能な範囲で専門家や実務家とのオンラインコミュニケーションをとり、昨年度に引き続き研究基盤の構築につとめることができた。また、オンラインで国内・国際学会での報告を実施し、フィードバックを得て論文のかたちにまとめた。その一部については、学会賞を受賞するなどの評価を受けた。このほか、研究で得られた知見をもとに、社会的要請に応じたアウトリーチも強化した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2022年度は、これまでの研究成果をまとめるかたちで、得られた知見の体系化を進める予定である。これと並行して、引き続きこれまでに実施できなかった資料調査を追加的に実施するほか、論文発表や口頭報告などのかたちで成果公開を続けていくことを目指す。また、国内外で当該テーマに係る重要な法案が成立する見込みのため、学術的・実践的な議論の整合性を逐一確認し、必要に応じてアウトリーチなどにも対応していくことを検討する。なお、状況が許せば海外調査は複数回実施し、得られた知見の妥当性について確認する作業を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度に見込んでいた国内外の調査・移動が延期となり、2022年度以降の実施を見込んでいるため。
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Research Products
(5 results)