2019 Fiscal Year Research-status Report
Varieties of modes of global governance for sustainable development
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19K01498
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三浦 聡 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10339202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グローバル・ガバナンス / トランスナショナル・ガバナンス / ガバナンス・モード / プラットフォーム / 持続可能な開発目標(SDGs) / 持続可能な開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究成果】 本年度の主な研究成果は、持続可能な開発目標(SDGs)に関して、広範な読者に向けた解説「『持続可能な開発目標(SDGs)』の実施とその課題」(国際法学会エキスパート・コメント)および共著の論説(「グローバル経済秩序と『持続可能な開発目標』」『法律時報』)を執筆したことである。加えて、前課題の遂行期間に投稿した国際共著論文"Can the Power of Platforms be Harnessed for Governance?"が、今年度の再修正を経て国際ジャーナル(Public Administration)に掲載された点も挙げられる。 【研究内容】 SDGsに関する解説は、2030アジェンダおよびSDGsに関する3つの報告書に基づき、SDGsの実施体制とその課題を明らかにした上で、SDGs実施の「梃子」のうち経済と金融に注目し、SDGsがグローバル市場を通じていかに実施されているかを論じた。さらに、日本のSDGs実施体制とその課題を指摘した。SDGsに関する論説は、グローバル経済秩序との関連でSDGsを捉え、SDGsがグローバル・サプライチェーンの組織化に及ぼす影響を考察した。共著論文は、「ガバナンス・プラットフォーム」の概念・分析枠組・類型を示した上で、その可能性と課題を探った。 【研究の意義・重要性】 SDGsに関する解説は、執筆時の最新動向を踏まえつつ「SDGs実施のための変革フレームワーク」等を示した点で、一定の意義があろう。SDGsに関する論説は、SDGsが「目標ベースのガバナンス」に基づくとの通説を踏まえつつも、SDGsが機関投資家などの「規制媒介者」を通じて企業に及ぼす影響を論じた点に意義がある。ガバナンス・プラットフォームに関する共著論文は、国際ジャーナルに掲載されたことで、プラットフォームの学融合的研究の第一歩を踏み出せたと言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の狙いは、ガバナンス・モードを体系的に捉えることを通じて、持続可能な開発のマルチモーダルなガバナンスを理論的・実証的に明らかにすることである。 まず、上述の解説と論説を通じて、持続可能な開発のガバナンスの中核を成すSDGsの実施とその課題を明らかにした上で、SDGsの役割と機能を「マルチステークホルダリズム」の文脈に置き、主に市場における「規制媒介者」との関連で捉えた。 加えて、国際共著論文では、ガバナンス・プラットフォームをガバナンス・モードの1つと捉え、類似概念であるネットワーク、メタガバナンス、オーケストレーションとの異同を明らかにすることを通じて、ガバナンス・プラットフォームの独自性と意義を明らかにした。関連して、市場のインセンティブ、(ビジネス・プラットフォームのような)ビッグデータ分析、法的権威のいずれにも基づかないガバナンス・プラットフォームの「パワー」として、「ジェネラティヴィティ(generativity)」(事前に予測できないアウトプットを継続的に生み出す能力)を挙げて、それが「アーキテクチュラル・レバレッジ(architectural leverage)」に基づくことを指摘した。 以上、実証面では、持続可能な開発のグローバル・ガバナンスをSDGsを中心に捉えて、SDGsの実施とその課題を明らかにした。理論面では、ガバナンス・プラットフォームの概念・機能・類型を明らかにすることで、独自のガバナンス・モード論を構築するための基礎を築くことに成功した。 本課題研究は以上のように進捗しているが、SDGsに関連するイニシアティブの参与観察を行うことはできなかったので、総合的に判断して「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のSDGsに関する研究は、本課題の実証面の中核を成すものであり、今後は2019年度の研究成果を踏まえつつ、SDGsに関連する様々なイニシアティブを特定する。事前の計画ではいくつかのイニシアティブの参与観察を行う予定であったが、現況下では海外出張が困難であり、またこの状況が当面は続くことが予想されるため、機会をとらえてウェビナーなどに参加しつつも、インターネット上での情報収集と先行研究のレビューを中心に行う予定である。 上述のガバナンス・プラットフォームに関する研究は以上の観点は、ガバナンス・モードを体系的に捉える本研究の分析枠組の一部を為すものであり、今後はこれらを踏まえつつ分析枠組の構築を継続する。
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Causes of Carryover |
【理由】 前課題の経費を2019年度に繰り越したため、本年度使用額の一部を賄うことができた。また、本研究の暫定的成果を報告するために出席したシンポジウムの諸費用は先方負担となったため。 【使用計画】 ガバナンス・モードの分析枠組の構築、とくにガバナンス・モードと権威・パワーとの関連についての研究を充実させるために、関連書籍をより広範に渉猟し、当初予定よりも多く購入することとする。
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Research Products
(5 results)