2020 Fiscal Year Research-status Report
What Caused the Collapse of the Washington Treaty System in the Interwar Years: Commitment Problem and International Order
| Project/Area Number |
19K01499
|
|---|
| Research Institution | Teikyo University |
|---|
Principal Investigator |
中谷 直司 帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | ワシントン会議 / 九国条約 / 第一次世界大戦 / 海軍軍縮 / 戦間期 / ワシントン体制 / 中国問題 / 国際関係史 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
第一次世界大戦後の東アジアで大きな国際問題になっていた海軍軍縮問題と中国問題を協議した1921-22年のワシントン会議をめぐる国際関係の分析を進めた。特に焦点をあわせたのは、大戦後の東アジア傑出した影響力を持った日米英の会議政策とその相互作用の検討である。
昨年度に実施した日英の会議準備の検討を踏まえて、今年度は会議主催国の米国を加えて、会議開催に至る国際政治過程を再検討するとともに、協議開始後についても、資料の読解を進めた。協議に関する研究では、まず中国に関する国際関係の原則を定めた九国条約の成立をめぐる交渉の資料を読み進めた。海軍軍縮ではなく、中国をめぐる協議から研究をすすめたのは、（1）筆者のこれまでの研究がワシントン会議前の中国をめぐる日米英関係であり、これまでの成果を踏まえて、ワシントン会議における中国問題を分析する視角が比較的得やすかったことと、（2）コロナ禍の状況で、現地資料館所蔵の未公刊資料の調査が困難のなか、中国問題を主に扱った外交関係文書の方が、各国海軍関係の資料よりも、公刊資料によく含まれており、研究が進めやすかったからである。
あわせて九国条約のその後の国際政治への影響を検討するために、満州事変期の休講条約をめぐる日米英関係の検討も実施した。
従来の研究では、九国条約の現状維持的な性格が強調されてきた。しかしワシントン会議の前史およびその後の関連資料もあわせて検討すると、特に勢力範囲の撤廃については、日本側を含めて、外交当局者の明確な共通理解となっていたとの可能性が高いことが分かった。ただし、以上の点をより裏付けるためには、コロナ禍で延期している未公刊資料の収拾・検討が望ましく、今後実施したい。
なおこれまでの研究成果の一部を公益財団法人日本国際問題研究所主催のウェビナーで発表し、専門家おび一般社会に還元する機会とした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、本来実施すべきだった米国および英国での未公刊資料の現地調査が実施できておらず、そのために論文にするための実証作業が遅れがちである。ただし、（1）公刊資料および先行研究の検討を前倒しして実施するとともに、（2）関連する国際政治学理論に関する文献の検討も同様に前倒しして実施することで、研究計画全体の進捗に深刻な障碍がでる状態にはいたっていない。
このため「やや遅れている」と評価した。
|
| Strategy for Future Research Activity |
現在の状況で、本研究の遂行に必要な海外での資料調査がいつ実施できるかを確実に見通すことは困難だが、関連する公刊資料および先行研究も大変充実しているため、これまで同様に、これら文献の読解を率先して進める。同時に、あわせて公刊資料・先行研究の分析から得られた知見については、未公刊資料での確認をまたずに、オンライン上の関連研究会や学会で積極的に発表し、関連研究者のコメント・批判を得るこうすることで、未公刊資料の分析が可能になった際に、十分な分析枠組みをもって読解作業に臨めるように準備する。
|
| Causes of Carryover |
主にコロナ禍の影響で海外での資料調査が実施できず、国内での研究出張も困難であったため、次年度使用額が生じた。コロナ禍の状況にもよるが、延期している海外資料調査に充当する予定である。同時に、現地調査を補うための公刊資料等の購入や、海外からのマイクロフィルムやデジタル化資料の取り寄せにも使用する。
|
Research Products
(1 results)
