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2022 Fiscal Year Research-status Report

What Caused the Collapse of the Washington Treaty System in the Interwar Years: Commitment Problem and International Order

Research Project

Project/Area Number 19K01499
Research InstitutionTeikyo University

Principal Investigator

中谷 直司  帝京大学, 文学部, 准教授 (70573377)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywordsワシントン会議 / 海軍軍縮 / 日英同盟の廃棄 / 国際秩序 / ワシントン体制 / コミットメント問題 / 日本外交史 / 戦間期
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ワシントン会議を中心に形成された第一次世界大戦後の東アジア秩序の脆弱性の原因を、主催国のアメリカの外交的指導力の信頼性の低さという観点から分析することを目的としている。この本研究を遂行するにあたり、同国の未公刊資料を現地資料館で調査・収集し、分析することは不可欠である。コロナ禍のため、過去3年間この調査を実施できなかったが、今年度の末、パンデミック状況の緩和を受け、3週間現地に滞在し国立公文書館で未公刊資料の調査を集中的に実施した。
収集した資料の本格的な分析はこれからだが、暫定的な作業から、(1)会議の準備段階ではハーグ平和会議が先例として強く意識され、大国間の現状維持的な勢力調整のみにアメリカ側の関心が集中していたわけではないこと、(2)会議以後もワシントン諸条約(特に中国関係の九国条約)に準拠する会議非参加国の拡大が目指されていたこと、(3)以上のことから、ワシントン会議のみで新条約にもとづく国際秩序の建設が完成するとは、少なくともアメリカ側ではみなされていなかったこと、(4)しかもこうした認識はイギリス側も共有しており、会議前は必ずしも関係が順調とは言えなかった米英間の協調関係が、新秩序の構築を目的とする形で進展を見せ始めていたことが伺えた。いずれも従来の研究では強調されてこなかった点であり、特に会議で結ばれた条約の内容を、そのままワシントン会議に基づく新秩序(いわゆるワシントン体制)の限界点と見なす、多くの有力な先行研究の見解に修正を迫るものである。今後本格的な資料分析を行い、学会発表や論文、書籍としてその成果を公表して行く。
その他、以上の資料調査の前提として、(1)先行研究と公刊資料に基づく通史を教科書の1章として執筆し、さらに、(2)ワシントン会議の重要な成果である日英同盟の廃棄を、国際関係史上の同盟政治の変化の観点から再検討した論文を公刊した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍で過去3年間実施できていなかったアメリカ国立公文書館およびアメリカ議会図書館での資料調査を今年度はようやく実施できた。約3週間滞在したため、相当の未公刊資料を調査・収集できた。しかし、こうした資料調査は本来であればもっと早期に実施する計画であったため、未公刊の一次資料の分析とそれにもとづく研究成果の発表は遅れたままであり、今回の資料調査でようやく本格的に実施できる条件が整ったところである。このため、ワシントン会議より後の重要な国際交渉の未公刊資料の収集・分析にも進むことが出来ていない。もちろん、こうした状況を受けて、これまでは公刊資料集や二次資料(先行研究)の検討を優先的に実施してきた。こうした成果は、見るべき未公刊資料の選別とその中で優先的に確認すべき論点の確認を中心に、今回のアメリカでの資料調査の準備・遂行にも活かすことができた。また、これから本格的に着手する未公刊資料の分析の基盤になる。以上のことを総合的に勘案して、「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

次年度の前半は今年度末にアメリカ国立公文書館およびアメリカ議会図書館で調査・収集した資料の分析に集中して取り組む。それらの成果は学会発表や論文として公表し、関連する研究者からフィードバックを得る。その上で、ワシントン会議とその後の東アジアの国際秩序をめぐる書籍を執筆する。
同時に、以上の研究に最重要となるアメリカ側の未公刊資料の調査・収集は依然途上であるので、国立公文書館を中心に、アメリカ現地の資料館での調査を今年度に引き続き次年度も実施する計画である。

Causes of Carryover

コロナ禍で研究出張が見込んでいたよりも少なく、未使用使用額が生じた。未使用額は、これまでコロナ禍で不十分だった海外での資料調査をできるだけ長期にわたって実施するために、旅費として使用する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 国際関係史から見た日英同盟の終焉──二つの同盟政治の狭間で2023

    • Author(s)
      中谷直司
    • Journal Title

      近代日本研究

      Volume: (39) Pages: 135-176

    • Open Access
  • [Journal Article] 書評 種稲秀司『幣原喜重郎』〈人物叢書〉(吉川弘文館、二〇二一年) 熊本史雄『幣原喜重郎──国際協調の外政家から占領期の首相へ』(中公新書、二〇二一年)2022

    • Author(s)
      中谷直司
    • Journal Title

      東アジア近代史

      Volume: (26) Pages: 146-151

  • [Journal Article] 第十二章 軋み始めた日米関係──一九一五~三〇年の日米関係2022

    • Author(s)
      中谷直司
    • Journal Title

      畠山圭一編『テキスト日米関係論』ミネルヴァ書房

      Volume: なし Pages: 205-220

URL: 

Published: 2023-12-25  

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