2019 Fiscal Year Research-status Report
国際規範の政策化と実施段階における変容メカニズムー東アジアの事例から
Project/Area Number |
19K01510
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
湯澤 武 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (10583883)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 国際関係理論 / 国際規範 / 国際制度 / 規範研究 / 実践理論 / 政策過程論 / 政策実施論 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は主に以下の2点について研究を進めた。①規範の政策化と実施段階における地域諸国間のインタラクションを通して、地域制度に制度化された規範の意味解釈が変化するメカニズムを説明する理論枠組みを構築する。②事例研究の一つとしてASEAN地域フォーラム(ARF)に制度化された協調的安全保障規範がどのように政策化され、またその実行過程の中で規範の意味解釈にいかなる変化が起きたのかについてデータ収集を行う。 ①については、理論枠組みの独創性を磨くべく、規範理論、実践理論、政策過程論に関する文献レビューを行い、その研究成果をISA(世界国際関係学会)の2020年度年次大会で発表すべく、パネルを組織して学会事務局に応募した。プロポーザルは無事に受理され、発表に向けてペーパーの執筆に取り組んだが、残念ながらコロナウイルスの影響により、2020年3月下旬にハワイで開催予定であった年次大会が中止となった。結果として、①については年度末までに具体的な形で成果を残すことができなかったが、理論枠組みの骨格を完成させることができた。
②については予算の関係から、主に国内でデータ収集を行った。具体的には情報公開制度を活用し、外務省にARF関連会合に関する公文書の開示を請求し、30点ほどの文書を入手した。これによって、近年ARFにおいて協力活動を推進するための行動計画がどのように実施されてきたのか、またその過程でアクター間にどのようなインタラクションが生じていたのかについて大まかに知ることができた。
その他本研究と関連した実績として、ASEANの東アジア地域秩序構想とその実践についてペーパーをまとめ、研究書の一部として出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように、コロナウイルスの影響でISAの年次大会が中止となっため、研究発表の機会を失っただけでなく、主に2月以降ウイルスの社会的拡散によって生じた職務上・生活上の混乱への対処のため、論文執筆の時間を十分に確保することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は年度の前半で理論枠組みに関する論文を書き上げ、学術誌に投稿することで、研究の遅れを取り戻すつもりである。学会での報告については、2021年度のISA年次大会に応募する予定である。事例研究に必要なデータ収集については、次の段階としてシンガポールやインドネシアで聞き取り調査を予定しているが、2021年度も海外に渡航することは極めて困難になることが予想されることから、当面は2次資料の収集を軸に進めることとする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、米国で開催予定であった学会(ISA年次大会)が中止されたことで、助成金で計上していた旅費(約40万円)が全額未使用となったためである。当該助成金については、2021年度のISA年次大会に申請し、プロポーザルが受理された折に大会参加のための旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)