2022 Fiscal Year Research-status Report
国際規範の政策化と実施段階における変容メカニズムー東アジアの事例から
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19K01510
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
湯澤 武 法政大学, グローバル教養学部, 教授 (10583883)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際関係理論 / 実践理論 / 規範研究 / 東アジアの国際関係 / 国際制度 / コンストラクティビズム / 政策過程論 / ASEAN |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究の事例研究の一つとして、人権および保護する責任(R2P)規範に関する東南アジア諸国連合(ASEAN)の「実践=Practice」に関する研究に取り組んだ。その研究成果を2023年3月にモントリオールで開催されたInternatioanl Studies Associationの年次大会で発表した。過去4年間、コロナ禍のためASEAN諸国において聞き取り調査ができなかったことにより、関連データに関しては2次資料に頼るしかなく、論文の質としては納得のいく状態ではなかったが、ほぼ3年ぶりに対面で開催された学会において、多くの研究者と交流し、それらの研究者から有益なフィードバックを得たことで、本事例研究に関する仮説の問題点がより明確になった。またそれらの研究者からは、2023年度に取り組む予定である聞き取り調査の進め方についても、有益なアドバイス(具体的には人権問題に関わるASEAN諸国の政府関係者のネットワークへのアプローチ方法やキーパーソンについてなど)を得ることができた。2022年度は、上記研究以外にも、近年激化する米国、中国、日本といった大国間の競争が、ASEANをはじめとするアジアの多国間制度や国際規範の発展の方向性にいかなる影響を及ぼしているかについて研究を行い、その研究成果として論文を2本執筆した。そのうち1本は、査読付き国際学術誌に投稿し、昨年12月に掲載された。他の1本は、日本語の論文集(学術書)の一部として、3月に出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れている最大の理由は、過去4年間、コロナ禍により海外渡航が難しくなり、事例研究に必要なデータを十分に収集できなかったことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に本研究の最優先事項としてあげた理論枠組みに関する研究成果を国際学術誌に投稿することについては、同時進行で取り組んでいた他の論文の完成が遅れたため、実行することができなかったが、当該原稿の完成には目途が立っているので、今秋までに投稿する予定である。論文の総仕上げとして、本年8月に開催される国際学会において、研究報告を行う予定である。 また今年度は過去4年間、コロナ禍のため実施出来なかった国外での聞き取り調査を行う予定である。そのデータをもとに、あらたな論文を作成し、来年1月ごろまでに国際学術誌に投稿する予定である。その過程において、本年12月に開催される国際学会において、研究報告を行う予定である。 他方で2023年度中に計画調書にある全ての関係諸国を訪問することは不可能なため、本研究の事業期間を再延長することを前提とし、少なくとも2年がかりでデータ収集を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた海外調査がコロナ禍によって実施出来なかったことにより、助成金で計上していた旅費が全額未使用となったためである。2023年度に海外調査を実施する予定であるが、今年度中に計画調書に記載した全ての関係諸国を訪問することは不可能であるため、本研究の事業期間を再延長せざるを得ないと考えている。
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Research Products
(5 results)