2022 Fiscal Year Research-status Report
Economic interdependence and threat perception
Project/Area Number |
19K01511
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
植木 千可子 (川勝千可子) 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (50460043)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 安全保障 / 脅威認識 / 経済相互依存 / 国際関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済アクター及び経済的要因が安全保障上の脅威認識の形成に与える影響を明 らかにすることを目指している。これまで脅威認識の研究は、主に外交・安全保障アクターが安全保障の認識 を中心に分析されてきた。その際、もっぱら分析の対象となったのは、安全保障に関係の深い軍事能力や出来事であった。経済相互依存関係が脅威認識に影響を与えることは推測されてはきたが、経済アクターが脅威認識の形成に与える影響を分析した研究は少ない。本研究では、経済アクターの役割に着目しながら、 経済が外交・安全保障に与える影響と、逆に外交・安全保障が経済アクターの認識に与える影響を検討する。また、経済アクターが有益だと認識していた経済関係が自国にとってマイナスだという判断に転じる場合の要素も検討したい。 2022年度は、前年度に引き続いて、既存の脅威認識に関する研究と経済依存と戦争の研究を調査し、経済アクターの脅威認識に影響を及ぼし得る要因・条件の整理を行った。安全保障アクターが経済的要因をどのように分析し脅威認識の形成するかについても検討した。本年度も新型コロナ感染の影響で予定していた聞き取り調査が十分に実施できなかったが、感染収束が見込まれることから、今後、実施する計画である。 これまでの調査の結果では、国によって安全保障議論と経済問題の関連(リンケージ)は差異が認められた。対中脅威認識については、米国においては、経済界の経済的な利益の有無、多寡が安全保障議論に影響を与えていた。それに比べて、日本においては、安全保障議論と併行して存在している場合がより多く観察された。新型コロナが世界的に収束することが期待されることから、次年度は日本内内・海外の聞き取り調査を実施し、その分析を進める計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの世界的な感染拡大によって、海外における聞き取り調査、調査・研究を計画・予定していたが、多くを取り止めなくてはならなかった。国内における 聞き取り調査も実施が困難であり、進捗が遅れた。初対面の経済アクターを対面でなくオンラインでインタビューするのは社会慣習上、容易ではないため、進捗に影響が出た。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、聞き取り調査によるものを計画しており、新型コロナが収束し聞き取り調査が安全に実施できるようになり次第、経済アクターについての聞き取り調査・データ収集を実施する予定である。多くの国で感染に収束傾向が見られることから、次年度は、これまで中止せざるを得なかった国内、海外における調査を実施することにしている。安全保障アクターの経済的な要因・状況についての認識についても同様にデータを収集する。各アクターが他国との関係を評価する際に、どのような要素に着目するのか、などを明らかにすることを目指す。また、安全保障アクターと経済アクターの認識を時系列に追うことによって、それぞれが影響を与える過程とメカニズムを調査・分析することを計画している。
|
Causes of Carryover |
新型コロナの世界的流行が発生したため、多くの研究会、学会、国内・海外における聞き取り調査、資料収集を取り止めなくてはならなかった。次年度は、新型コロナの流行が収束に向かっていることから、これらの調査を実施する。具体的には、日本国内及び米国における調査を計画しており、旅費、資料収集費用として使用を計画している。また、収集したデータの分析について研究補助者などの協力を得て、実施し、分析に要する費用、人件費として支出する計画である。
|