2019 Fiscal Year Research-status Report
日本本土における米軍基地問題の史的展開―「危険性」の変容と「同盟」強化
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19K01515
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉次 公介 立命館大学, 法学部, 教授 (40331178)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在日米軍 / 米軍基地問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究事業は、2019年度からスタートしたものである。よって、2019年度は、基礎的な作業を主に行った。 まず、日本政府が刊行している基本的な文献の調査を行った。その第一は、外務省が毎年刊行している『外交青書』および防衛庁/防衛省が毎年刊行している『防衛白書』である。それらに対する調査を実施して、冷戦期の在日米軍の動向および在日米軍基地問題に関する記述の複写を行った。この作業は、在日米軍基地問題に関する最も基本的な事実関係を把握する上で、重要であった。本研究は、主に1950年代から1970年代までを対象としたものだが、より長いスパンで在日米軍基地問題史を論じるために、『外交青書』と『防衛白書』の調査は、冷戦が終わる1989年までを対象として実施した。 第二に、防衛施設庁が刊行した『防衛施設庁史』を閲覧した。同書は、1950年代から冷戦後までの主要な米軍基地問題を取り上げており、本研究を進めるうえで大変有用である。 次いで、基本的な事実関係や、在日米軍および米軍基地問題に関する新聞論調や世論を把握するために、『朝日新聞』の調査を実施した。この調査も、1950年代から1970年代を中心としつつ、1989年までを対象として実施した。 上記のような資料調査と並行して、在日米軍および米軍基地問題に関する先行研究を収集した。また、米軍基地問題を理解するうえで必要な日本政治史、日本外交史、国際政治史、アメリカ外交史、その他政治学、歴史学関連の文献を収集した。 2019年9月9日には、立命館大学衣笠キャンパスにて、沖縄政治史をご専門とする黒柳康則・沖縄国際大学教授をお招きし、研究会を実施した。黒柳教授には、「沖縄戦と行政―沖縄県庁から沖縄諮詢会へ」と題する研究報告をお願いし、本土の米軍基地問題と比較しつつ、沖縄米軍基地問題の「原点」について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、学内の多忙な役職に就いていたため、例年に比して、研究時間を十分に確保することが難しかった。また、2019年冬以降は、新型コロナウィルスの感染拡大のため、予定通りに研究を遂行することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年4月現在、新型コロナウィルスの感染拡大が続いており、収束の見通しは立っていない。新型コロナウィルスが収束するまでの間は、在日米軍基地問題史を理解するうえで欠かせない日本政治史、日本外交史、冷戦史などの関連文献を読みつつ、すでに収集している資料の分析を進める。また、インターネットで調査が可能な国会の議事録、立命館大学所蔵資料やデータベースの調査を行う予定である。状況が好転した際には、国立国会図書館などでの調査を実施する。今後の研究の推進方策については、新型コロナウィルスをめぐる社会情勢を念頭に置きつつ、柔軟に対応していきたい。
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Causes of Carryover |
2019年度は学内で多忙な役職に就いていたことに加えて、2019年冬以降の新型コロナウィルスの感染拡大により、東京の国立国会図書館での資料調査などを、予定通りに実施することが難しかったため、残額が発生した。 2020年度においては、図書の購入、作業効率を上げるためのパソコン等の購入、国立国会図書館や外交史料館における資料調査、学外の研究者をお招きした形での研究会の開催などを予定している。なお、新型コロナウィルスをめぐる社会情勢にあわせて、柔軟に対応したいと考えている。
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