2022 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト冷戦期における新興国の国際秩序再編構想ーロシア、中国、ブラジルの比較研究
Project/Area Number |
19K01522
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浜 由樹子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (10398729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽根 次郎 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (30726261)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネオ・ユーラシア主義 / ウクライナ侵攻 / ロシア政治 / 毛沢東主義 / ヘルシズム / 中国 / コロナ・ポリティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の浜は、2022年2月以来、ロシアのウクライナ侵攻の歴史的・思想的背景、ウクライナ侵攻のイデオロギーを説明することを試みてきた。ロシアがポスト冷戦期を通じて重ねてきた、国際秩序構築へのコミットメントとその試行錯誤の経験の上に、現在の戦争があると考えられる。このことは、図らずも本研究課題の予見性を示したが、それだけに、本研究プロジェクトで蓄積してきた成果を社会に還元することも可能にした。 具体的には、(1)ロシアのネオ・ユーラシア主義が、ウクライナ危機が起こった2014年以降、ロシア外交においてどのような位置づけにあったかを整理し直した。(2)マスメディアや一部研究者の間に流布した、「極右思想家アレクサンドル・ドゥーギンが2022年のウクライナ侵攻のロードマップを描いた」という風説を「解体」し、解説した。(3)ウクライナ侵攻を正当化するイデオロギーを5つの構成要素に分解し、それぞれの背景を説明した上で、それらをまとめる文脈を「反リベラリズム」に見出した。(4)ロシア社会がプーチン政権のイデオロギーをどのように受容しているかを、様々な社会意識調査を駆使して示した。 研究分担者である羽根は、中国の秩序観とコロナ禍での対応の関係に着目して、2021年度より新たなアプローチを加えてきた。2022年度は、「科学」「専門家」の言説で彩られてきた日本のコロナ・ポリティクスに注目し、技術論、技術人類学、医療人類学での議論で検討のうえで、毛沢東主義の日本での受容と、日本社会の国際的主体性の欠如、という文脈より解釈を試みた。
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Remarks |
浜由樹子「体制転換の夢と愛国パンク」半澤朝彦編著『政治と音楽:国際関係を動かすソフト・パワー』晃洋書房、2022年、p.66;マルレーヌ・ラリュエル(浜由樹子訳)「ポスト2.24のロシアはファシズム国家か?」『現代思想』50巻10号、2022年、pp.183-201.その他、新聞・テレビ等のメディア、市民講座、講演会(多数)を通じて、研究成果の社会への還元に努めた。
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