2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of business in trust-building in the process of peacebuilding
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19K01526
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片柳 真理 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (80737677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山根 達郎 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 准教授 (90420512)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 平和のためのビジネス / ローカル・ビジネス / ボスニア・ヘルツェゴビナ / クロアチア / ミンダナオ / ビジネスと人権 / 信頼構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度もコロナ禍のために現地調査を行うことができず、文献研究と成果発表、論文執筆を継続した。国際学会でパネル・セッションを企画・実施できたことが最大の成果である。 パネルは本研究の研究分担者、研究協力者に加え、海外から2名の研究者を招き、5つの発表で構成した。発表内容は、(1)国連グローバル・コンパクト-アフリカ戦略2021-2023の分析、(2)アフリカのサプライ・チェーンに注目した紛争鉱物に関する人権デューデリジェンスの正と負の側面、(3)フィリピン、ミンダナオの社会企業家のナラティブ分析による紛争緩和の仕組み、(4)ボスニア・ヘルツェゴビナのローカル・ビジネスによる信頼醸成と民族主義政治からの解放効果、(5)ネパールを事例として平和のためのビジネス(B4P)が平和の持続という課題に適合するかどうかの分析、であった。発表において論じられた主な点として、以下を挙げることができる。まず、国連グローバル・コンパクトの実践が必ずしも一様ではなく、例えばアフリカの戦略では信頼、紛争および平和構築には注意が向けられていない。次に、ビジネスと人権の規範形成が進んでいるものの、実践においては規範を守っているという体裁を作ることが横行し、実質的な人権保護に繋がっていない場合がある。第3に、B4Pの事例においては、雇用、キャパシティ・ビルディング、民族を越える協力の実現、信頼醸成、民族主義的政治からの解放などの効果が確認できる。第4に、特に平和の配当を最大化することを通じて国内企業が平和の持続に役割を果し得ることが認められる。 以上、規範形成とその実践、ローカルな文脈に照らしたB4Pの実態解明と理論化への糸口という両側面からB4P研究の進展を示すことのできるパネルとなった。また、海外の研究者とのネットワークを強化するという成果を得られた。 なお、平和構築に関しては共著書を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の遅れは、専らコロナ禍により現地調査を実施できないことにある。予定していた現地調査を実施できていない状況であるため、文献調査を続け、過去の現地調査で得られたデータをもとに執筆を進めている。このような状況下ではあるが、学会発表や執筆に関しては比較的良好に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定した現地調査ができていないことから、1年間の期間延長を申請した。少なくとも令和4年度末までにボスニア・ヘルツェゴビナまたはミンダナオで1回の現地調査を実施する計画である。 現在、投稿論文の修正作業を進めており、さらに新たな論文を執筆予定である。また、年度末に国際学会での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍により現地調査ができなかったことである。2022年度は海外出張も可能になり得るため、できる限り現地調査を実施し、次年度使用額を使用する予定である。
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