2019 Fiscal Year Research-status Report
Roles and influences of non-permanent members in the UN Security Council
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19K01530
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
本多 美樹 法政大学, 法学部, 教授 (30572995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際連合 / 安全保障理事会 / 集団安全保障 / 国際政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家は協力できるのかという国際政治の伝統的な問いを解くためのひとつのアプローチを提供するものである。非軍事的な問題に関する決議が多く発出されるなど国連安全保障理事会(安保理)での決議が多様化してきた今日、本研究において非常任理事国の動向に注目することは国連研究の分野だけでなく、国際政治分野の研究においても意義があると考える。非常任理事国としてこれまで最も多く選出された経験をもつ日本にも深く関連するテーマでもある。 2019年度は、安保理決議が採択されるまでの非常任理事国の影響力について考察を行うために、2000年以降の安保理決議の新しい傾向に着目して決議の分類を行った。その際に、決議に至るまでの安保理内での交渉過程について重要なアクターとして議長国の役割に注目した。安保理の議長国は、非常任理事国にとっては任期中に多くて2度しか回ってこない。そのため、非常任理事国は限られた機会で最大限のイニシアティブを発揮できるように取り組み、その成果とするべく決議の採択に励む。議長国はメンバーから提案される議事案を調整するが最終的に議事を設定するのは議長国である。安保理のメンバーによって議事の設定がうまくいかないこともあり、メンバー間の政治的な関係も議事の設定・進行に大きな影響を与える。よって、議事を選択し、設定する議長国の役割に注目して分析を行っている。 なお、日本が非常任理事国の議長国を務めた時期(2016-17年のうち2か月間)の役割と日米協力については、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS、米国ワシントンD.C.)で報告を行い、ペーパーはCSISのHPで公開されている。また、ペーパーは、2020年度に書籍化される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究では、主に2000年以降の安保理決議とそれに至るミーティングの議事録、安保理議長国の報告書、事務総長報告書について資料の分類を行った。計画よりも時間がかかっているがおおむね順調に進んでいる。2020年度も継続して資料収集と整理、分析をおこなう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、安保理理事国がどのような場合に、どの程度協力して決議採択に至ったのかについて交渉のうち不一致点を操作して譲歩を引き出すための対話と圧力に注目して、共同行動(強制・協調行動)に至るまでの非常任理事国の役割と影響力について考察する。2020年度も、調整に関わった行為主体(アクター)と交渉過程(取引や交渉材料、国際環境の変化などの外的要因、関与国の国内要因など)について資料の調査を引き続き行う。安保理のメンバーの発言に注目して多くの議事録と関連資料を渉猟することは労力を要するが、安保理理事国間の調整が成功する機能を整理することによって、これまで行ってきた研究を推進させたい。その後、学会報告および学会誌への論文投稿に向けて執筆を始める。
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