2023 Fiscal Year Annual Research Report
Roles and influences of non-permanent members in the UN Security Council
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19K01530
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
本多 美樹 法政大学, 法学部, 教授 (30572995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際連合 / 安全保障理事会 / 国際政治 / 拒否権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は国連安全保障理事会(安保理)で決議が採択される過程での非常任理事国の役割と影響力について考察することにある。15の理事国がいかなる場合にどの程度協力できるのかに関心を置き、常任理事国間のコンセンサス形成が困難な場合の非常任理事国の調整機能に注目した。考察にあたって、本課題では2つの仮説を設定した。ひとつは、2000年以降に非伝統的安全保障関連の議論が多くなされるようになったのは、非常任理事国が自らが活躍できる領域として関与を強めたから、という仮説であり、もうひとつは、トランプ政権下で採択される決議の数が一時的に極端に減ったがその後徐々に決議数が回復した理由として、非常任理事国によるコンセンサス形成への努力があったから、とする仮説である。非常任理事国は拒否権をもたず任期も短いことから注目されることが少ないが、安保理内でのコンセンサス形成と決議採択において影響力を行使しうることを明らかにすることが目的である。 本課題では、まず、安保理の成り立ち(制度設計と政治的意図)についての史料を整理した。その後、安保理での投票行動と議論の整理を行った。安保理での4種類の正式会合のうち投票行動も含んだ形で議事録が残る会合を分析対象とした。安保理では「常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票」が決議成立の条件である。つまり、常任理事国が拒否権を行使した場合に決議は成立せず、非常任理事国が影響力を発揮することは不可能である。また、常任理事国の「棄権」は「同意」ではないので、国連憲章第27条を文言通りに解釈すれば決議の成立を妨げることになる。しかし、実際は、常任理事国の棄権は決議の成立を妨げないとして、他の9カ国によって決議を成立させる運用がなされている。会合文書の整理・分析の結果、非常任理事国は決議成立のために自らの役割を極大化し、影響力を行使したケースが見つかった。
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