2019 Fiscal Year Research-status Report
Regionalism beyond East Asia: Membership, Governance and Legitimacy
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19K01532
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
舒 旻 早稲田大学, 国際学術院, 准教授 (20534986)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域主義 / 東アジア / TPP / RCEP / AIIB / メガFTA / リベラルな国際秩序 / パワー・トランジション |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアにおける地域経済協力は、2010年代に入ってから、ASEAN+3(アセアン・プラス・スリー)の枠組みを超え、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などの新たな枠組みの下で地域貿易の自由化とインフラ投資を中心に進んできた。本研究は、TPP、RCEPとAIIBに焦点を絞り、国際政治経済論と地政学の視点を用いて地域経済協力がどのように「東アジアを超える地域主義」に変身しつつあるのかを解明することを通じて、理論面と実証面から東アジアの地域統合論を再検討することを目的としている。 初年度の研究は、先行文献の把握、理論的なフレームワークの構築とフィールドワークの準備と遂行に集中した。具体的には、(1)アメリカのスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校、中国の北京大学、タイのタマサート大学などの研究機構において先行研究と関連資料を収集し、2010年代の「東アジアを超える地域主義」の全体像を考察した。その上で、理論的なフレームワークの構築を試みた。(2)理論の面においては、中国の台頭による東アジアにおける地政学の変化に焦点を絞り、日中関係、日米関係、そして米中関係の変動を考察し、地域経済協力の新たな地域的及び国際的基盤について、初歩的な分析を行った。(3)TPP、RCEPとAIIBの事例研究に関しては、日本、中国とアメリカにおけるフィールドワークの準備を行い、その一部を年度内に実施した。 本年度の成果としては、2019年6月、9月と12月にタイのバンコック、中国の北京と上海に開催された国際研究ワークショップで研究成果を発表したと同時に、多くの研究者と交流することができた。また、来年度はスタンフォード大学東アジア研究センターの訪問研究員として、アメリカで本研究をベースとする研究プロジェクトを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、次のことを行うことができた。(1)日本のほか、アメリカ、中国とタイの東アジア研究の中心地であるカリフォルニア大学バークレー校、北京大学、そしてタマサート大学で東アジアにおける地域主義の先行文献を収集し、各国における東アジア研究の専門家と交流した。(2) 国際政治経済論と地政学の視点から「東アジアを超える地域主義」に関する理論的なフレームワークの構築を試みた。(3)日本、中国とアメリカの三ヶ国でフィールドワークの準備作業を行った。また、(4)国際学会とワークショップで研究成果を報告し、国内外の研究者との交流ができた。上記のことから、当初の研究計画以上に進んでいると思われる。 しかし、2020年1月から世界中に広がった新型コロナウイルスの影響により、3月に予定された国際研究学会(International Studies Association)の研究大会がキャンセルされ、同学会に予定された本研究に関する研究発表を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究は、おおむね以下三つの面において推進する予定である。(1)TPP、RCEPとAIIBに関する実証研究を行うため、日本とアメリカでフィールドワークを実施すること。(2)スタンフォード大学の研究環境を利用して、東アジアにおける国際政治経済の変動とパワー・トランジションに関する先行文献と研究成果をさらに把握し、国際政治経済論と地政学の視点から地域経済協力の新たな地域的及び国際的基盤を分析すること。(3)国内外の研究者との交流を深め、研究成果として学術論文を執筆し、それと同時に国内外の学会で報告すること。
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Research Products
(5 results)