2021 Fiscal Year Research-status Report
オスマン帝国をめぐる国際関係の歴史的変容:「条約の書」の基礎的研究を通じて
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19K01535
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
黒木 真子 (松井真子) 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (80711324)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オスマン帝国 / 条約 / カピチュレーション / 国際法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の影響で一昨年度のイギリスでの調査、昨年度のオランダでの資料収集は実施できなかった。しかし、こうした状況のなかで、オランダの公文書館からオンラインで資料を取り寄せたり、新たに関連の研究所や研究論分を購入などを通じて入手した。また既に収集済みの資料の読解を進め成果を論文として発表するなどし、計画を国際情勢に対応し修正しつつ研究を進めた。 研究成果はオランダのカピチュレーションに関しては1680年の条文を検討しその概要をまとめて愛知学院大学大学院文学研究科紀要『人間文化』に発表し、また1763年と1740年の対仏カピチュレーションについて『愛知学院大学文学部紀要』に発表した。現在18世紀前半のオーストリアとの間の二つの通商条約を分析中であり、その成果を『人間文化』に投稿予定である。またこれまでの研究成果を整理して、オスマン帝国のアフドナーメに関する研究を、研究の現段階で可能な範囲で、全体を通じた流れとしてまとめた「オスマン帝国の『条約の書(アフドナーメ)』-カピチュレーション/通商条約/講和条約-」を科学研究費学術変革領域研究(A)「イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築」B01班ワークショップ「オスマン対外関係の諸相」で報告した。この報告を土台にオスマン帝国の「条約の書」の変容を単著としてまとめる作業も進めている。 また昨年度は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所にフェロー研究員として在籍し、受入教官である髙松洋一教授と定期的に「アフドナーメ研究会」をオンラインで実施し、アフドナーメのオスマン語テキストの校訂、和訳と解題作業に取り組んでおり、いくつかの条約をまとめて、共著での条約集としての出版を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり、毎年度実施を計画していた海外調査・資料収集は、一昨年度に引き続きコロナ禍のため行うことができなかった。しかし計画を修正し、オンラインでの資料取り寄せや、既存の資料の読解、成果の学術論文や研究会報告としての発表などを通じて計画を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
残念ながら今年度も、コロナ情勢さらにウクライナ情勢の影響も加わり、海外調査の実施はかなり難しいと考えている。そのため海外調査は来年度に持ち越し、既存の資料にもとづいてその読解を進め、またこれまでの研究をまとめ近年の成果を加えて整理していきたいと考えている。また論文や報告の形で成果の発表にも努めていきたい。 なお東京外国語大学アジア・アフリカ研究所でのフェローとしての研究期間は終了したが、当該研究所の髙松洋一教授との「アフドナーメ研究会」は継続しており、上述のとおり共編の条約集としての刊行を目指し研究を進めている。
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Causes of Carryover |
研究計画の核となっていた海外調査が実施できていないため残額が生じた。 次年度以降の研究計画遂行のため、適宜新たな研究動向を追うため学術書を購入したり、資料整理のための文具や収納具、電子機器などの購入に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)