2019 Fiscal Year Research-status Report
Shaping America's Cold War Policy in Southeast Asia: What drove U.S. diplomacy to be more ideological?
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19K01536
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
鳥潟 優子 同志社女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60467503)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際関係史 / アメリカ外交史 / 欧米関係 / 東南アジア / 脱植民地化 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカは戦後、世界的覇権を確立して以降、ベトナム戦争やイラク戦争など、長期的視野を欠いた無謀な軍事介入を重ねてきた。しかも、戦争開始に至る過程ではよく似たパターンが繰り返されてた。それらは個々の指導者らの誤りや体質に問題があるというより、むしろ背後にアメリカ外交の構造的な特徴が隠されていることが強く示唆される。本研究は、ベトナム戦争の泥沼への起点となった40年代から50年代の東南アジアへの介入が、いかに始まり深まっていったのかを実証的に跡付けることで、この構造の解明を目指す。 2019年度は、上記の検証の出発点として、すでに収集していたアメリカ・オランダ・イギリスの各国立公文書館の史料に基づいた分析によって、①この地域の植民地宗主国である西欧諸国(英蘭仏)がアメリカの関与を求めて強力な外交アプローチを行っていたこと、②アメリカがインドネシア独立戦争後の地域秩序形成を念頭に、体系的な東南アジア政策を策定しつつあったことを明らかにした。中間報告として米国のアメリカ外交史学会(SHAFR)で報告を行った。 次年度以降、③アメリカがインドネシア独立戦争に対して国連を通じた介入を行い、オランダに植民地放棄を受け入れさせるのに成功したこと、④この地域の真正なナショナリスト政権の育成を目指した経済・軍事援助のために連邦議会の説得工作に関する調査と検証を行う。アメリカの東南アジア政策の転換が、アメリカの外交当局や議会・世論、更には同盟国との相互作用の中で「アジア冷戦の論理」が創造・増幅され、同盟諸国による地域秩序構想にも反応しながら、アメリカ外交が「アジア冷戦の論理」に拘束されて抜け出させなくなるプロセスとその外交構造を考察する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカ外交史学会で本研究の中間報告を行った後、学会ペーパーを改訂し、追加的な史料調査を米国と欧州で行う予定であった。しかし2020年初頭からの新型コロナウィルスの流行によって、2月以降に予定していた欧米での史料調査の見送りを余儀なくされた。この予定変更により、やや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はアメリカ(米国国立公文書館、議会図書館、トルーマン大統領図書館)及び英仏蘭の国立公文書館等で史料収集を行う予定である。新型コロナウィルス感染拡大防止に留意しつつ、各国の各史料館が再開して海外渡航が可能になれば、作業に取り掛かれるよう準備する。同時に2019年度から課題の学会ペーパーの改訂を進めて海外の学会誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
2020年2月以降に予定していた米国及び欧州での史料調査は、新型コロナウィルスの世界大での蔓延によって各地の史料館が閉鎖されて延期せざるをえなくなった。2020年度以降、感染症が終息次第、米国及び欧州での調査を再開する予定である。ただし感染症の世界的な流行の終息までは、米国の議会などの文献調査や史料分析を引き続き行い、調査の再開後に作業の効率をいっそう高められるよう努めていく。
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Research Products
(1 results)