2021 Fiscal Year Research-status Report
マクロ経済政策が構造変化と経済成長に与える影響:ケインジアンアプローチ
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19K01543
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 真哉 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (80452184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 所得格差 / 個人的所得分配 / 機能的所得分配 / 財政政策 / 二部門モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては,価格設定におけるマークアップ率の変化,および,金融政策に伴う利子率の変化がジニ係数であらわされるような個人的所得分配の不平等度に与える効果を理論的に分析した,"Income inequality in terms of a Gini coefficient: A Kaleckian perspective"を海外学術誌に投稿し,エディターからのリバイズ要求への対応を行った。論文の改訂版では,多くの先行研究のサーベイに紙幅を費やし,より論旨が明確になるような大幅な修正を施した。なお論文の結論自体はレフェリーから評価されたため,ほとんど変更していない。現段階では改訂作業をほぼ終了し,近日中に同学術誌に再投稿する予定である。 また,新興産業と従来型産業からなる二部門のケインジアン/カレツキアン・モデルを構築し,特定産業を支援するような財政政策,例えば付加価値税からなる税収を新興産業に傾斜的に割り当てるような産業振興政策が,構造変化と経済成長にどのような影響を与えるかを理論的に分析した。本研究では,新興産業に財政支出を優先的に割り当てる場合に,両産業がともに成長するパターン,新興産業のみが成長するパターン(そして従来型産業が停滞するパターン),両産業がともに衰退するパターン,という3つのパターンが得られることを示した。どのパターンが現出するかは,様々なパラメータの組み合わせ次第であることを明らかにした。今後はこの研究をブラッシュアップし,一つの論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に応える基礎的なフレームワークを構築できたという点ではおおむね研究は順調に進展していると言える。しかし,新型コロナウィルス感染症拡大に伴う業務の対応に追われ,当初の想定よりもやや遅れ気味になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
構造変化と経済成長の関係を分析するための多部門モデルの構築についてはある程度の作業を終え,今後は分析のいっそうの精緻化に取り組みたいと考えている。また,それと並行して,OECD.statのSTANデータベースを用いて,先進諸国における産業構造変化の類型化とその要因分析(とりわけ制度的要因の分析)を行っている。年度内には,一つの成果としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
前年度には,新型コロナウィルス感染症の問題により出張や外部講師の招へい等がすべてキャンセルになったため,次年度使用額がゼロにならなかった。翌年分は研究の進展状況に応じて,備品や学会出席のための必要支出額が増加する予定である。
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