2022 Fiscal Year Research-status Report
マクロ経済政策が構造変化と経済成長に与える影響:ケインジアンアプローチ
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19K01543
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤田 真哉 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (80452184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 最低賃金 / 制度的調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績は,次のとおりである。 第1に,宇仁宏幸氏,北川亘太氏との共著で『現代制度経済学講義』を出版した。研究代表者が執筆した同書第2章から第4章にかけては,(ポスト)ケインズ派の価格設定理論とマクロ経済モデルを接合した。そこでは,マクロ経済の安定性を保つために,財政・金融政策のみならず社会単位のコーディネーション(制度的調整)が必要であることを論じた。また,同じく研究代表者が執筆した第12章においては,最低賃金の引上げが所得格差や資産格差の縮小に効果的に作用するための諸条件について論じた。具体的には,最低賃金の引き上げが格差縮小につながるためには,資本と労働の代替の弾力性が十分に小さいことのみならず,賃上げが物価に転嫁されないよう,製品市場における競争環境を維持するような制度的政策的枠組みが必要であることを示した。 第2に,徳丸宜穂氏,吉井哲氏との共著で「中小製造業企業の原価低減・組織能力と製品競争力:愛知県製造業企業への質問紙調査に基づく実証分析」を公刊し,中小企業ではいかなる原価低減活動によって実際に原価低減がもたらされいるかを明らかにした。実証分析により,長期雇用慣行のもとで形成される技能・組織能力がコスト競争力の源泉として重要であることを示す結果が得られた。このことは,技能形成の制度化・充実化によって価格競争から脱却し非価格競争への転換を図ろうとする通念的な方策の限界を示しており,技能・組織能力の使用方向に影響を及ぼす政策が必要であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に応える基礎的なフレームワークの構築および実証分析を実行し,それを研究成果として取りまとめて書籍や論文を公刊できたという点では,おおむね研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
構造変化と経済成長の関係を分析するための多部門モデルが完成したため,2023年度内に研究論文の一つとしてまとめる予定である。また,構造変化と経済成長との関係に関する実証的作業については,データの整理等の予備的作業を終え,今後は統計的分析のいっそうの精緻化に取り組みたいと考えている。2023年度内には,以上の研究成果を2本の論文にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
前年度においては,オンラインの研究会や学会への参加が多かったため,次年度使用額がゼロにならなかった。翌年分は研究の進展状況に応じて,備品や学会出席のための必要支出額が増加する予定である。
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Research Products
(3 results)