2021 Fiscal Year Research-status Report

情報選択とリーダーシップの実験研究

Research Project

Project/Area Number	19K01544
Research Institution	Kobe University
Principal Investigator	末廣英生神戸大学, 経営学研究科, 名誉教授 (30162837)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	小林創関西大学, 経済学部, 教授 (10347510) 安部浩次神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (40582523)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords	ゲーム実験 / リーダーシップ
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、チーム生産において被験者がチーム生産性の不完備情報の状況におかれざるを得ない場合で、チーム生産性に関して各メンバーが受け取る部分情報の在り方を被験者が選ぶことができる場合、被験者はどのような在り方を選ぶか、その選択がチーム生産におけるリーダーシップの出現をどのように左右するかを、ゲーム実験で明らかにすることを目指している。特に、メンバーが受け取る部分情報の在り方として、(A)メンバー間の情報が独立、(B)メンバー間の情報が相関、の２通りを考える。過去の研究成果によれば、(A)(B)のいずれの情報の在り方の下でも、リーダーシップが部分的に出現することが分かっている。しかし、(A)と(B)とではリーダーシップが起こるメカニズムは異なると推測される。我々は、(A)の独立情報の場合にはメンバー間で分散する情報のシグナリングのメカニズムがリーダーシップを生起させ、(B)の相関情報の場合にはreciprocityを引き出すためのメカニズムとしてリーダーシップが生起するという仮説を立てた。 2019年度と2020年度の研究によって、フォロアーのチーム生産性に関する信念を測定すれば、情報選択に伴う追加的な影響を識別でき、本研究の仮説を検証できるとわかった。しかし、その検証実験は2021年度前期までは実施できる見込みが立たなかった。本研究のゲーム実験は、大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請して実施する計画であったが、コロナ感染症の流行に伴い大学生を被験者とし、実験室で実験を行うことは極めて困難となったためである。 2021年度の後期になって流行がようやく下火となったので、実験を実施可能である見込みがたった時点で大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請し、2022年1月に実験を実施した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 2021年度は、コロナ感染症の流行が収まり次第、2020年度に計画していたゲーム実験を大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請して実施する計画だった。しかし、2021年度前期はコロナ感染症の流行が猖獗を極めたため、実験実施が困難となった。2021年度の後期になって流行がようやく下火となったので、実験を実施可能である見込みがたった時点で大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請し、2022年1月に実験を実施した。実施した実験は、本報告書「研究実績の概要」で説明した、メンバーが受け取る部分情報の在り方として考える(A)メンバー間の情報が独立と(B)メンバー間の情報が相関では、リーダーシップが起こるメカニズムは異なるという推測を確かめる実験である。それを確かめるために、先行研究の実験設計に加えて、相手の行動を観察したのちのフォロアーのチーム生産性に関する信念をBSR（Binary Scoring Rule）によって測定する実験設計とした。 2021年度の当初計画では、フォロアーの信念測定を組み込んだ実験を実施した上で、そのデータを分析することによって、被験者がチーム生産性に関する情報の受け取り方を(A)メンバー間で独立と(B)メンバー間で相関の２通りから選べる場合に、その選択へのフォロアーの信念の影響を識別できる実験を設計し、実施することとしていた。しかし、2021年度前期のコロナ感染症の流行によって、フォロアーの信念測定を組み込んだ実験が後期にしかできなかったために、情報選択実験を2021年度内には実施できなかった。
Strategy for Future Research Activity	2021年度に実施したフォロアーの信念測定を組み込んだ実験のデータを精査し、被験者の行動への信念の影響力を識別することによって、メンバーが受け取る部分情報の在り方が(A)メンバー間の情報が独立と(B)メンバー間の情報が相関では、リーダーシップが起こるメカニズムは異なるという推測を確認する。そして、その知見を用いて、被験者がチーム生産性に関する情報の受け取り方を(A)メンバー間で独立と(B)メンバー間で相関の２通りから選べる場合に、その選択へのフォロアーの信念の影響を識別できる実験を設計し、実施する。それによって、リーダーシップを引き起こすことができる２つのメカニズムのいずれが顕在化しやすいかを実験的に明らかにすることを目指す。
Causes of Carryover	2021年度は、情報選択に伴う追加的な影響を識別できるリーダーシップ実験を、大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請して実施する計画であった。しかし、2021年度前期はコロナ感染症の流行が猖獗を極めたため、大学生を被験者とし実験室で実験を行うことが極めて困難となった。そして、2021年度の後期になって流行がようやく下火となったので、実験を実施可能である見込みがたった時点で大阪大学社会経済研究所の実験室の利用を申請し、2022年1月に実験を実施した。この実験では、メンバーが受け取る部分情報の在り方として考える(A)メンバー間の情報が独立と(B)メンバー間の情報が相関では、リーダーシップが起こるメカニズムは異なるという推測を確かめるための、フォロアーの信念測定を組み込んだリーダーシップ実験を行った。当初の研究計画では、この実験データの知見によって、被験者がチーム生産性に関する情報の受け取り方を選べる場合にその選択へのフォロアーの信念の影響を識別できる最終実験を設計し、実施することとしていた。しかし、フォロアーの信念測定を組み込んだ実験の実施が2022年1月にならざるを得なかったために、情報選択実験を2021年度内に実施することができなかった。 2022年度は、その情報選択実験を行う計画である。科学研究費は、その実験の被験者報酬と実験実施補助者への謝金に充当する。