2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01557
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
無藤 望 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (40706222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メカニズム・デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な環境において、支配されない戦略による遂行を可能にするための十分条件を求めるために、メカニズムを構成するための手法を開発した。これは、ベンチマークとなる小さなメカニズムをもとに、各参加者の戦略間の支配関係をうまく調整するために、新しい戦略を付け加えていくという手法に基づくものである。 したがって、遂行のための十分条件は、既存の必要条件がみたされることに加えて、社会選択対応が上記の手法を許すような性質を持つという意味合いを含むことになる。具体的には、(1) 遂行すべき社会選択対応の中で、任意の参加者が最も好む選択肢を与えるようなselectionが耐戦略性をみたすこと、(2) 任意の参加者の選好に関して順序が逆転し、かつその参加者を除くn-1名の参加者にとって十分に悪いような1対の選択肢の組が存在する、という条件である。 ただし、メカニズムにおいて複数の帰結が許容される場合、ひとつの目的関数をもつ設計者にとって、どのようなメカニズムが"より良い"メカニズムであるのかは自明でないことに注意が必要である。本研究では、Borgers and Smith (2021)に従い、あるメカニズムで遂行され得るどの帰結も、別のメカニズムで遂行され得るどの帰結よりも、設計者にとって(弱い意味で)好まれるならば、前者のメカニズムは後者よりも(弱い意味で)良いと定義している。この意味で、オークションやマッチング等の特定の経済的環境において、古典的なメカニズムよりも(強い意味で)良いメカニズムを構成できることを示している。 上記の内容を草稿にまとめ、World Congress of the Econometric Society等の学会で発表しながら、関連の研究者と議論を交わしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で目標としていた内容の多くが草稿としてまとまる段階にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画で目標としていた内容は固まりつつある状況である。今後はその内容を様々な機会で発表しながら、関連分野の研究者と議論することを通じて改善していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により出張や招聘が取りやめとなり、物品購入も科研費からの支出では控えめとなった。2021年度はより長期間の出張を予定しており、その関連支出が増加する予定となっている。
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