2019 Fiscal Year Research-status Report
Coordination and Freeriding Problem in Donations
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19K01565
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 絵里香 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (40611695)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経済実験 / ゲーム理論 / 公共財供給ゲーム / 寄付行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの社会問題は社会的ジレンマの構造を持つ。社会的ジレンマ状況では、より多くの人が協力的な行動を選択した方がそうでない場合よりも個人にとっても社会全体にとっても望ましいが、個人にとっては自分は協力をせず他者にただ乗りした方が得となる。しかし、社会的ジレンマ状況として扱われている問題においても、実際には協力度を上昇させればさせるほど好ましいわけではなく、適度な協力で十分であり、過ぎた協力は無駄になる場合が存在する。そのような状況が複数ある場合、社会全体としては様々な箇所にそれぞれで必要とされる量の協力をしなければならず、個々人がうまく選択をすることで社会全体のバランスを保つ協調行動も必要とされる。 本研究では、このような状況において、人々の主体的な協調と協力を促し、社会の効率性を上げるために有効な情報提供の仕組みを、ゲーム理論と経済学実験の手法を用いて検証する。具体的には、協調問題とただ乗り問題が併存する状況の例として複数の寄付先が存在する場合の寄付行為に着目し、必要とされる支援量に関する情報の提供が効率性の上昇に有効か、またどのような状況であれば有効かを明らかにすることを目的としている。 2019年度は、協力と協調の両方が必要となる社会的ジレンマ状況が満たしている条件として、これまでよりも一般的なものを明らかにすることが出来た。このため、関連する先行研究の範囲が広がり、追加で必要となった先行研究のサーベイを行った。その結果、より多くの既存研究と本研究を関連付けることが出来、またその中での立ち位置をより明確にすることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力と協調の両方が必要となる社会的ジレンマ状況が満たしている条件として、これまでよりも一般的なものを明らかにすることが出来たため、当初予定していなかった先行研究のサーベイが必要となったからである。しかし、上述の通り、これ自体は研究の質の向上につながったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、ゲーム理論を用いた分析を行い、それをもとに実験計画を作成する。実験は2021年度前半に行い、分析と研究成果報告をその後行っていく。 本研究計画の実施上一番の課題はコロナウイルスの感染拡大による現在の状況がいつ改善するのかが不明なことである。多くの人を一か所に集めることが出来ない現状では、実験室実験を行うことは難しい。そのため、本研究課題はもともと2020年度後半~2021年度前半にかけて実験室実験を行う予定だったが、それを半年ずらした。本研究課題については統制の高い実験室実験の方がオンラインで行う実験よりも好ましいと思われるため、可能であれば状況が回復するのを待ちたいが、2021年度でも収束していなかった場合を想定し、2020年度中にオンラインで実験を行う方法を学習する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】当初予定していた旅費が、年度末にコロナウイルス対策の移動自粛で使用されなかったため。 【使用計画】コロナウイルスの関係で、2020年度予算の多くは来年度以降への使用に回すものが多くなる。まず、2020年度は国際学会での研究報告を2つ予定しており審査も通過していたが、その内1つは延期が確定し、もう一つはオンラインで行われることになった。このため、その分の支出を予定していた旅費は来年度以降の使用に移行する予定である。また、上述の通り2020年度は実験室実験の実施はかなり難しいことが予想される。このため、実験に使用予定の人件費・謝金も来年度以降の使用となることが予想される。一方で、来年度以降オンライン実験での実施も可能とするため、書籍の購入やパソコン周りの拡充を必要に応じて行う。
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