2020 Fiscal Year Research-status Report
18世紀末ブリテンにおける女性論の諸相:功利主義的フェミニズムの可能性
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19K01570
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
板井 広明 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任講師 (60405032)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 功利主義 / フェミニズム / 公私二元論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、コロナ禍のため、ロンドンでの資料収集ができず、また夏に予定していた国際功利主義学会での報告が延期となり(さらに2021年1月になり、延期から中止となった)、草稿の検討は予定どおりとはいかなかったが、J.S.ミル研究者の山尾忠弘氏やロンドン大学UCLのスコフィールド氏とオンラインでの意見交換などを行ない、研究を進めた。 また2021年1月22日には、IGSセミナー「ブリテンにおけるフランス革命論争:バーク vs ウルストンクラフト」と題して、バーク『フランス革命の省察』への反論として書かれたウルストンクラフト『人間の権利の擁護』と『娘達の教育について』を検討するセミナーをお茶大で開き、19世紀アイルランド思想やウルストンクラフト研究者、バーク研究者との意見交換を行なった。 研究成果としては、ITAI Hiroaki, "Bentham on Self-interest: Institutional Control of Self-interest", A Genealogy of Self-Interest in Economics, 2021, pp.61-84.で、ベンサムの利己心に関する見解を中心に彼の経済思想的な特徴を明らかにした。 また現代のジェンダー論やフェミニズムの知見とともに、ベンサムの女性論をフェミニズムの歴史に位置づけ、その先駆性を明らかにした「ジェンダーと平等」(新村・田上編『平等の哲学入門』社会評論社、2021年)という論考を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れているのは、コロナ禍の影響ゆえである。本来は、夏前後に、UCL所蔵Box lxxiii~lxxivのベンサム草稿を検討する予定であったが、そもそも渡航ができない状況であったため叶わなかった。またその研究成果を国際功利主義学会International Society for Utilitarian Studiesのシカゴ大会で報告する予定であったが、延期(2021年1月に中止)となったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
UCL所蔵のベンサム草稿を検討することが本研究では欠かせないが、それがかなわない状況である。予定していた国際功利主義学会も、次のローマ大会の開催は2022年の夏の予定である。研究の推進には、現在まで入手した資料に基づいて研究をある程度進めることは可能であるが、コロナ禍の一定のおさまりが必要になる。ワクチン接種についても、早くて夏を過ぎてからになることは確実で、これに対する対応については、研究期間の延長も検討しなければならないと思われる。
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Research Products
(2 results)