2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01578
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
久松 太郎 同志社大学, 商学部, 准教授 (60550986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 山片蟠桃 / 大知弁 / 情報効率性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナ感染症拡大防止のため、対面でのJET研究会の開催ができなかったが、代わりにオンラインで合計10回の研究会を行った(第5回:6月16日、第6回:8月3日、第7回:9月2日、第8回:10月5日、第9回:10月19日、第10回:11月2日、第11回:11月16日、第12回:12月7日、第13回:1月13日、第14回:2月8日)。 研究内容面については、山片蟠桃の『大知弁』の議論を現代金融論における情報効率性の先駆的理論として復元し、共同で英語論文を作成した。その成果は"A Neglected Japanese Efficient Market Theorist: Yamagata Banto (1748-1821) and His 1806 Writing"と題するDiscussion Paperで作成し、その一部を海外学術誌に投稿した。内容面で特筆すべきことは、情報効率性の先駆者とみなされていた同時代のイギリス経済学者ローダーデールへの言及と当時の大坂米市場の取引制度の概説を加えたことにより、日欧の経済思想史的比較、経済史的研究、および現代経済学からみた蟠桃理論の位置づけを複合的に分析できたことである。 投稿後は、2021年4月10日に予定されている日本経済思想史学会・第13回西日本例会での報告資料の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症拡大防止のため、対面での研究会の開催が困難であった。しかし、オンラインでの研究打ち合わせを行える環境が整備されたことにより、2020年度当初に懸念された研究の進捗状況の悪化を回避することができた。オンライン環境の整備については、研究機関による改善に加えて、本科研事業の研究費によって周辺機器の購入が可能となったことが研究の進展に大きく寄与した。周辺機器の購入は当初の予定になかったが、新型コロナ感染症拡大の影響で出張ができなくなり、そのために予算計上していた経費を充当することができた。 また研究内容面については、山片蟠桃の大知論を現代金融論における情報効率性の先駆として再評価し、"A Neglected Japanese Efficient Market Theorist: Yamagata Banto (1748-1821) and His 1806 Writing"と題するDiscussion Paperを作成した。そして、その一部を年度末に海外学術誌に投稿した。 以上の理由より、現在までの研究の進捗状況について「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月10日の日本経済思想史学会・第13回西日本例会で「忘れられた日本人経済思想家:山片蟠桃と『大知弁』」と題する研究報告を研究代表者が行う。そこでのコメントや得られた知見を活かし、論文の改稿を行う(投稿先のエディターから返事が届き次第、結果にかかわらず改稿に努める)。 また6月以降に第15回JET研究会をオンラインで開催し、次のテーマ(山片蟠桃の資源配分論を予定)の研究に着手する。 本研究事業で2本の論文が作成できた場合、代表者と分担者が各自で進めている研究成果をあわせ、書籍化の準備にとりかかる予定である。書籍化は日本語で行われ、ある程度完成した時点で出版助成の申請準備を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大防止のために、対面での研究会の開催ができなかったり、出張が困難であったりしたことにより、当初の予算計上した経費とは別の使用計画に変更せざるを得なかったためである。研究代表者はオンラインでの研究打ち合わせ(研究会)用にパソコン周辺機器の整備費等に充当し、研究分担者は2021年2月から2か月間、事務補佐員1名を雇用し、山片蟠桃に関する文献の整理作業を依頼した。 次年度は、対面での研究会開催が可能であれば、そのための費用にあてる予定であるが、オンラインでの開催を余儀なくされた場合は、(現在使用中のノートパソコンが5年以上前の型であるため)ノート型パソコン等の新規購入を計画している。
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Research Products
(2 results)