2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 通雄 東北大学, 経済学研究科, 客員准教授 (40580717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 雇用者被用者マッチデータ / 生産性分析 / 労働需要分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019度は、生産性分析のためのデータ準備(工業統計調査、賃金構造基本統計調査、経済センサス)と日本、ドイツの雇用者被用者マッチデータを用いた職業シェアの推移の要因分解について共同研究を行った。国際貿易の拡大やICT、ロボット投資に応じて、企業がどのように雇用を調整するのかという問題については、多くの研究が行われているが、本研究ではまず、経済全体の職業シェアの変化が事業所内の配置転換による部分と、各職種の新規雇用・解雇による部分に分解できることを示した。雇用者被用者マッチデータでは、事業所の従業員について、各職種の従業員数に加え、社内異動または新規雇用・解雇の情報がわかるため、上記の分解式により、既存研究と比べてより詳しい分析が可能となる。日本のデータは、雇用動向調査、賃金構造基本統計調査、企業活動基本調査、海外事業活動基本調査、工業統計調査、経済センサスを接合する予定であるが、今年度は、企業活動基本調査と雇用動向調査だけを接合した予備的な分析を行った。その結果、輸入額を増やした企業が生産部門の労働者を減少させ、その5割程度は社内での配置転換によるものであることが観察された。ドイツのデータは、Linked Employer-Employee Data from the IAB(LIAB)と呼ばれるドイツの雇用者被用者マッチデータである。LIABデータの特徴は、各事業所の全従業員について職業をはじめ、詳細な情報が収録されている点である。ドイツのデータについては、既存研究の方法に倣い、Qualification and Career Surveyを用いて各職種の業務内容に応じて、タスク測度のデータも構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本のデータの準備については、各個票データの接合作業の理解を深めることができた。経済センサスの個票がまだ入手できていないものの、研究協力者の牧岡亮氏(経済産業研究所)が利用可能となったデータの接合作業を行ってくれ、予備的な分析を始めることができた。ドイツのデータについては、研究協力者の田中聡史氏(University of Queensland)が中心となりデータの整備をしてきたが、今年度、データの利用申請をやり直し、他のメンバーも利用可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020-2021年度は主に内閣府経済社会総合研究所で研究活動を行うことになるので、工業統計調査、賃金構造基本統計調査、経済センサスについては新たに申請し、雇用者被用者マッチデータを用いた事業所レベルの生産関数の推定と集計生産性成長率の要因分解を進める予定である。さらに、企業・事業所レベルの労働力調整を日本、ドイツのデータを駆使して詳細に分析することを目指す。新型コロナウィルスの感染拡大が続いているので、当面はメール、ウェブ会議で研究協力者と連携して研究を進める。2021年度は学会発表やDiscussion Paperで研究内容の公表を目指す。
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Causes of Carryover |
年度末に研究協力者との打ち合わせのため海外出張を計画していたが、新型コロナウィルスの感染拡大が続き自粛した。次年度以降の出張、招聘経費として支出予定である。
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