2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K01584
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 通雄 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40580717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雇用者被用者マッチデータ / 生産性分析 / 労働市場分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、工業統計調査と賃金構造基本統計調査の接続による雇用者被用者マッチデータを用いて、既存の事業所レベルの生産関数推定を拡張することを試みた。まず、通常は従業員数の情報しかない労働投入について、事業所ごとの総労働時間を用いて推計を行った。日本では、雇用調整に加えて、残業等の調整による勤務時間調整も重要であることから、総労働時間を用いた事業所の生産性分析は重要であると考える。今回の作業では、分析対象である製造業の常用労働者については、総労働時間を考慮しても推計結果に明らかな違いは見られなかったが、今後より詳細な分析が必要であると認識している。次に、事業所間の労働投入の質的な違いを考慮するために、賃金構造基本統計調査から従業員の大卒比率と女性比率を計算し、その生産への影響を分析した。データのパターンを確認する予備的な分析として、労働投入の質情報を無視して事業所レベルの全要素生産性を推定し、その生産性を大卒比率と女性比率に回帰するという2段階の推定作業を行った。その結果、大卒比率は生産性に正の影響を与える一方、女性比率の影響は非線形であることを確認した。しかし、推定方法の精査や、年齢、勤続年数、職業、就業形態等の属性情報も用いて、より詳細な分析を行う必要がある。上記の分析結果を内閣府経済社会総合研究所内の勉強会で発表し、参加者から貴重なコメントを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、作業はやや遅れている。関連して、研究代表者の異動により、個票データの仕様場所変更の手続きや研究環境の整備にも時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、今回行った工業統計調査と賃金構造基本統計調査の接合作業とその課題をまとめてResearch noteとして公表する。さらに、引き続き、マッチデータにおける豊富な従業者属性情報を用いて、事業所TFP推定の精緻化やTFP決定要因などの生産性分析における研究課題に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、海外の研究協力者との打ち合わせや学会報告等の出張ができなかったため。次年度の出張経費に使用予定である。
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