2022 Fiscal Year Research-status Report
動学的因子モデルにおける構造変化分析手法の開発と応用
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19K01586
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山本 庸平 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (80633916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大規模パネルデータ分析 / 地域別の住宅価格 / バブル検定 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、以下のような実績を挙げた。 課題A「個別ショックの分散構造変化分析」においては、2021年度に改訂作業を行ったワーキングペーパー「Structural Change Tests under Heteroskedasticity: Joint Estimation versus Two-Steps Methods」が国際学術誌であるJournal of Time Series Analysis誌に掲載された。 課題B「分散の構造変化を用いた因果効果の識別」においては、「Identifying Factor-Augmented Vector Autoregression Models via Changes in Shock Variances」が応用計量経済学分野のトップジャーナルであるJournal of Applied Econometrics誌に掲載された。また、同様の動機に基づいて執筆した資産価格市場における共通部分と固有部分におけるバブルの検定手法につき1本の論文「A Cross-Sectional Method for Right-Tailed PANIC Tests under a Moderately Local to Unity Framework」が理論計量経済学分野のトップジャーナルであるEconometric Theory誌に採択され、1本の論文「Identifying Common and Idiosyncratic Explosive Behaviors in the Large Dimensional Factor Model with an Application to U.S. State-Level House Prices」が国際学術誌であるJournal of Econometric Methods誌に採択された。 その他の特筆すべき成果として、本研究課題で蓄積した大規模データ分析手法を用いて世界規模の気候変動問題を解析した論文「Anthropogenic Influence on Extremes and Risk Hotspots」が国際学術誌Scientific Reports誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度前半は、継続するコロナウイルス感染症対策の影響により国内および海外の学会における研究発表などが困難であり研究の進捗がやや遅れたものの、2022年度後半にはそれらの状況が改善をみたことから計画の遂行が大幅に進捗した。 課題Aについては、主要なプロジェクトであった不均一分散下での構造変化検定の論文が出版されたため、2022年度末時点では課題Aの進捗度はほぼ100%である。 課題Bについては、主要なプロジェクトであった不均一分散を用いた動学的因果効果の識別の論文が学術誌に出版されたことに加え、大規模な資産価格パネルデータセットにおいて本課題に関連した手法を用いてバブル検定を提案した2本の論文が学術誌に採択されたため、進捗度はほぼ100%である。 いずれの課題についても、研究成果を学術誌に掲載したという点では当初計画をほぼ遂行したと考えられる。しかしながら、コロナ禍によりこのような研究成果を関連分野に応用することを充分に吟味することができなかったという点で未完成である。2023年度は、英国で博士学位を取得し、ファイナンス等応用分野を専門とするRAを雇用することで、本研究課題の成果の更なる応用を図り、研究課題を完遂することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
課題Aと課題Bについては、論文を国際学術誌に出版するという点では本課題はほぼ完了したものの、それらの結果をより応用的な分野の実証分析に用いることは課題として残っている。本研究課題の期間中は、コロナ禍の影響もまだあり、国際学会への参加が思うようにできなかったことが一つの要因である。しかしながら、2023年度にはファイナンス分野で英国の大学で学位を取得した学生を特別研修生として受け入れ、RAとして雇用することで、本研究課題の成果の更なる応用を図り、研究課題を完遂することを予定している。
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Causes of Carryover |
2022年度前半には継続するコロナウイルス感染症対策の影響により国内および海外の学会における研究発表などが困難な状態が続き研究の進捗がやや遅れたため。使用計画としては、本課題で得られた研究成果の更なる応用を図るためのRAの雇用を予定している。
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