2019 Fiscal Year Research-status Report
インドの小地域住民全数データを参照基準にした途上国統計制度のミクロレベル分析
Project/Area Number |
19K01587
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡部 純一 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70204013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 治平 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40204557)
池島 祥文 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
坂田 大輔 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (70734359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インド / 農村統計制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 研究協力者・宇佐美好文氏は、アジア経済研究所の農業労働賃金(AWI)の長期統計データをFASのメンバーと入力しデータベース化している。 (2) 研究分担者・金子治平氏は、2020年2月25日から2月29日にデリーのSociety for Social and Economic Research に滞在、元Foundation for Agrarian Studies (FAS)在籍のV. Rawal教授らとインド全国標本調査(National Sample Surveys)について議論した。またHaryana州の2村落について予備調査を実施した。 (3) 研究代表者・岡部純一は、2020年3月2日から3月7日までインドに滞在、第1に、BangaloreのFASオフィスで農村統計情報とGISを統合した農村空間構構造分析 を行うための予備研究として、村落空間データ(地図データやリモートセンシングデータ)の利用可能性について問題提起のプレゼンを行い議論した。この議論に は、研究分担者・池島祥文氏もスカイプにて参加し、村落GISデータについてプレゼンを行った。第2に、Trivandramのケララ州政府を訪問し、農村統計情報の最 新動向と地理的空間情報について予備インタビューを行った。ケララ州は農村統計情報収集に関してインドにおける先進州の一つである。 (4) 帰国後、Bangalore FASオフィスでの予備討論の参加者で、本研究の海外共同研究者であるMadhura Swaminathan教授からM. S. スワミナサン財団のGIS専門 家から村落のGISデータを購入するという提案があった。彼女のこの提案は予想外によい提案であった。購入の実現可能性について、現在、議論しているところ である。 (5) プロジェクトメンバーが京都で集合し、以上の暫定成果について研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インド渡航予定期間が新型コロナウイルスの蔓延期に重なり、3月はじめにはインドが日本人に対して入国拒否を開始し、3月下旬にはインド自体がロックダウン(都市封鎖)を開始したため、相互渡航が完全に不可能になった。だが、そうしたなかで本研究の海外共同研究者であるMadhura Swaminathan教授からM. S. スワミナサン財団のGIS専門家から村落のGISデータを購入するという提案があったことは、本研究課題の進捗にとって画期的な出来事であった。村落のGISデータ、とりわけ地籍図付のGISデータを使った研究はこれまでほとんど行われていなかったことである。予想外の国際共同研究進展につながるものである。この提案は予想外のものであり、本研究の肝となりうるミクロレベルデータ分析の研究素材に関する提案である。それゆえ、新型コロナウイルスの蔓延期というマイナス要因に、このようなプラス要因が加わり、本研究課題はおおむね順調に進展している状態に戻った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、インド国内の学術団体FASと国際共同研究を組むことによってインド村落の小地域住民全数調査個票データベースを参照基準に、当該村落について、(i)その村落に関するセンサスデータと行政記録を小地域住民全数調査個票データベースと一件一件ミクロレベルで照合することによって、不照合の原因を究明するだけでなく、(ii)その小地域住民全数調査個票データベースを使って全国レベルの公式標本調査データとの比較研究を試みるものである。 (1) 本研究課題の今後の推進方策は、研究分担者・金子治平氏や研究協力者・宇佐美好文氏が研究中の全国標本調査(National Sample Surveys)や農業労働賃金 (AWI)などのマクロ統計の研究を推進し、それらの研究を小地域空間(村落)内の対応するマイクロ 次元の統計情報と関連付けて相互に比較検証する。 (2) 海外共同研究者Madhura Swaminathan教授からのM. S. スワミナサン財団のGIS専門家から村落のGISデータを購入するという提案についてさらに検討し、農村統計情報とGISを統合した農村空間構構造分析を行うための予備研究を、研究代表者・岡部純一、研究分担者・池島祥文氏、研究協力者・宇佐美好文氏が中心となって推進する。 (3) 新型コロナウイルスの蔓延期ゆえにインド渡航を果たせなかった、研究分担者・坂田大輔氏によるインドおよび途上国の標本調査に関するサーベイを本格化させる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、端的に、インド渡航予定期間が新型コロナウィールスによるインドとの相互渡航自粛が発生したからである。今後渡航自粛が解除されれば渡航費用の使用が増大すると見込んでいる。また、たとえ渡航自粛の解除が見込み通り進まなかった場合も、 海外共同研究者Madhura Swaminathan教授 からのM. S. スワミナサン財団のGIS専門家から村落のGISデータを購入するという提案があるため、その購入費用のために当初の計画より使用額が嵩むと見込んでいる。
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Research Products
(3 results)