2021 Fiscal Year Research-status Report
ヘドニック・アプローチによる住宅価格分析と計量経済学的方法の改善
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19K01589
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
唐渡 広志 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00345555)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アート・オークション市場 / ヘドニック・アプローチ / タイプIIトービットモデル / 参照価格効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
前例の少ない最近の日本のアートオークション市場を対象に、アートワークを資産とみなした場合の物価指数系列をヘドニック・アプローチにより測定した。研究の貢献は、次の2つの点に集約できる。一つ目は、オークション市場で販売された作品のみに起因するサンプル・セレクション・バイアスを回避する方法を提案した。第二に、販売側のオークションハウスが提示する参照価格(予想落札価格の範囲)が、入札率と落札価格への直接的および間接的な影響を与えることを統計的に明らかにした。 ヘドニック価格のアウトカム関数は,Wooldridge(Wooldridge 2010 pp.697-703)による Exponential Type II Tobit model を利用して完全情報最尤法でパラメータ推定される。先行研究では,落札された芸術作品だけを対象としている。この場合,ランダムに選ばれた作品の価格が観察されているのではなく,出品側であるオークション・ハウスの留保価格を超える値付けがなされた価格だけが選ばれていると考えることができる。分析の結果,条件付きヘドニック価格指数(CHPI)と通常のヘドニック価格指数(HPI)を比較すると、平均価格変動率はCHPIで-2.8%、HPIで-2.2%であり、CHPIが低下したことを示している。サンプル・セレクション・モデルによると,参照価格1%の上昇は,落札価格0.63%の上昇をもたらすことがわかった。参照価格が上昇すると落札確率は低下するが,最終的な落札価格は上昇するという結果が得られた。選択バイアスが生じていることを考慮すると,オークション市場における参照価格は,落札価格に対する直接的なガイドになっていると同時に,入札率の変動を通じた価格形成要因にもなっていることが推察できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究成果は不動産をはじめとするさまざなま資産市場における価格決定に重要な示唆を与えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で利用しているデータは時系列方向にもプーリングされたデータである。時系列方向の分散不均一性を考慮した推定モデルを行い,資産市場のリスク評価を行う。
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Causes of Carryover |
人が雇えず人件費が余ったため。余った金額で本年度雇用を行う。
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