2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01591
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
六井 淳 静岡県立大学, 経営情報学部, 准教授 (70362910)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | LSTM / Quasi-RNN / 社会的時系列 / 重回帰分析 / RNN |
Outline of Annual Research Achievements |
株価や失業率などの社会的時系列データは様々な起因子によって変動しているため、過去の自己系列から未来を予測することは極めて困難な課題である。本研究では、統計的機械学習手法として時系列分析に利用されるリカレントニューラルネットワークを用いて、成り立ちの異なる複数の社会的時系列から目的時系列の未来予測を行う手法を提案した[1]。従来の自己系列からの予測と比べて、提案手法は高い予測精度が得られることを実験的に確認している。特にGDPや株価などの時系列に関しては、予測誤差は極めて少なく予測が可能である。蜘蛛の糸のように絡み合う全ての時系列の分析には膨大な処理コストを要する。これを解決すべく、ビッグデータ処理にも耐えうる手法を提案した[2]。この手法は高く評価され、データ工学研究会において奨励賞を受賞した。今後は、予測する目的時系列との因果関係を事前処理で割り出すことで、効率よく複数時系列の集約を行い、汎用性の高い手法の確立を目指す。 【研究成果】 [1]安達 凜、六井 淳、“複数入力を用いたRecurrent Neural Networkに基づく時系列予測”、FIT2019講演論文集、第二分冊、pp.45-52、2019. [2]坂﨑 雄一朗、安達 凜、六井 淳、“Quasi-Recurrent Neural Networksを用いた複合時系列データ予測”、電子情報通信学会技術報告書、DE2019-32、IEICE-119、no.354、pp.93-98、2019(データ工学研究会 奨励賞受賞)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は主に3つに大別される. ① 複数時系列入力を並列に駆動させるLSTM機構の構築 ② ①から得られる複数予測出力を1系列に統合する機構の構築 ③ 時系列情報からの起因子分析 (逆問題) ①に関して、想定以上の効果が得られることが実験的に確認され、②についても同様に高い成果が得られている.当初、計算量コストの問題が懸念されていたが、Quasi-RNNを活用することで計算量コストの大幅な削減も成功している.結果、本研究課題は③を残すのみであるが、③は最も困難な課題であり、時間を掛けて検証を行って参りたい.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標は主に3つに大別される. ① 複数時系列入力を並列に駆動させるLSTM機構の構築 ② ①から得られる複数予測出力を1系列に統合する機構の構築 ③ 時系列情報からの起因子分析 (逆問題) ①、②は順調に目標が達成されたため、今後は③を中心に取り組んでいく.つまり、②から①への逆問題を解く手法を考案する.アプローチとして、2003年にノーベル経済学賞を受賞したグレンジャー因果性に着目する.グレンジャー因果とは、ある二つの時系列データが与えられたときにその時系列間に因果性があるかどうかを判定する手法である.グレンジャー因果は本当の因果関係ではなくあくまで片方のデータ列からもう片方のデータ列を推定できる関係を示す.これまで無作為に複数時系列を与え、系列を束ねていたが、因果性を確認することで起因子の特定ができると期待している.
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Research Products
(4 results)