2019 Fiscal Year Research-status Report
地域の景気循環に関するデータ解析および大規模シミュレーション
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19K01593
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
小野崎 保 立正大学, 経済学部, 教授 (10233595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊木 吉隆 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20433740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域景気循環 / 同期 / ヒルベルト変換 / 鉱工業生産指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、わが国の景気指標の代表格である鉱工業生産指数の都道府県別月次データ(1978年1月~2018年8月)を用い、景気循環の地域間同期レベルの変遷を調べた。まず、季節調整を行っていない原データに対してバンドパス・フィルターをかけることにより、35ヶ月以下および98ヶ月以上の高周波成分と低周波分成分を除去し、トレンドからの乖離分としての deviation cycles を抽出した。季節変動は高周波成分として 除去されている。次に、これらのデータに Hilbert 変換を施したデータを変換前のデータと組み合わせることにより、1次元の時系列データを2次元の円運動をする振動子のデータに変換した。こうすることで景気の変動局面を振動子の周期的運動の位相に置き換えることができる。そして、景気循環の同期を位相の同期(phase synchronization)として捉えることにより、位相同期を計る Rosenblum らの指標を用いて地域間の同期の変遷を詳しく調べた。 その結果、研究代表者と研究分担者が平成24ー25年度に実施した科研費研究課題[挑戦的萌芽研究(理論経済学)研究代表者:小野﨑、研究分担者:齊木]において実施したウェーブレット解析の結果を支持する stylized facts を観測することに成功した。具体的には、われわれの計測結果は、内閣府の景気動向指数(CI)が示す景気上昇局面においては都道府県間の同期レベルは低なりく、下降局面においては同期レベルが高くなることを示している。現時点で、この結果を論文にまとめている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実証分析を行うという予定はほぼ達成されているが、研究代表者および研究分担者は学内での新型コロナウィルス騒動への対応などにかなりの時間を割かざるを得なかったため、直近3ヶ月は研究がまったく進んでいない状態である。しかし、事態がかなり収束に向かいつつあることから、今後は以前通りに研究を進めることができるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
当面の課題は、現在執筆中の論文を出版することにある。それが終わってから、結合振動子系の理論を用いて高次元の非線形数理モデルの構築に着手する予定である。その際に最も重視すべきことは、先に述べた stylized facts を説明することである。そのための経済のロジックをどのように組み込むかについて、既存のさまざまなモデルを参考にしつつ比較検討する。有力な候補の一つは、プロスペクト理論における価値関数と確率加重関数を用いることである。多地域の景気循環を考慮するためモデルは高次元になる。そのため、モデルの振る舞いを解析的に知ることはできないため、コンピュータによるシミュレーションを用いる。既に得られている実証研究結果を説明できるようになるまで、モデルのチューニングが行われる。
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Causes of Carryover |
2020年3月に出席予定であった,北見工業大学,金沢大学,京都大学(2件)での研究集会が新型コロナ感染症対策で中止となり,それに伴って出張が取り止めとなったため次年度使用額が生じた.その次年度使用額は,次年度に開催される研究集会に参加するための出張旅費などに用いる予定である.
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