2020 Fiscal Year Research-status Report
Financial Risk Analysis using High Dimensional and/or High Frequency Data
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19K01594
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
浅井 学 創価大学, 経済学部, 教授 (90319484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高次元 / 高頻度 / 金融資産リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
このプロジェクトでは、大きく3つのテーマについて研究に取り組んでいる。すなわち、①ネットワーク型確率的ボラティリティ変動モデル、②高次元の実現共分散モデルのための主成分分析の拡張、③標準化変換されたBEKKモデルの擬似最尤推定量の漸近正規性である。2020年度は、これらの3つについて前年度の研究を継続して取り組んだ。 ①については、昨年度に開発した手法を試行してみたところ、現在の計算機の処理速度では実用的ではないことが判明した。このため手法を少し単純化した上で、発展的な論文3編に仕上げた。具体的には、(i)行列指数関数を用いた実現共分散モデルの開発と推定、(ii)高頻度データから計算された実現カーネルについて、分位点回帰モデルに条件付き不均一分散などを組み込んだモデルの推定、(iii)条件付き非対称相関係数行列のモデルに、遅れのある変数の効果を組み込んだ場合のモデル推定である。いずれも①で取り組んだ研究の成果を活用している。これらの論文は、3編とも学術誌に採択された。 ②については、実現共分散のモデルであるCAW (Conditional Autoregressive Wishart, 条件付き自己回帰ウィッシャート)モデルについて、前年度に疑似最尤推定量の漸近正規性を示した。投稿先から実証分析を求められたため、日経225とその先物の高頻度データから実現共分散のデータを作成し、疑似最尤推定量の有用性を示した。また主成分分析に関する拡張については、2020年に実現共分散の主成分分析のための推定量が公表されたため、その成果をもとにモデルの構築に取り組んだ。 ③については理論的な研究であったが、投稿先の学術誌から実証分析を求められたため、大幅に改訂した結果、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の3つの研究テーマについて、予期せぬ困難に直面したものの、すべて一定の成果をあげることができた。これらの成果は、国際的な査読付き学術誌に論文5編として掲載された。全体としては、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
このプロジェクトでは、大きく3つのテーマについて研究に取り組み、一定の成果を上げることができた。2021年度は、特に②について、これまでの成果を発展させて、主成分分析を含めたモデルに拡張していく。また①と③の発展的な研究については、②の推進の妨げにならない範囲で取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
研究成果を国際会議で報告のための出張旅費を見込んでいたが、オンライン会議となった。また、国際共同研究に関する打ち合わせも実施できなかった。特に研究打ち合わせについては、できるだけオンラインを活用しながらも、無理なく実施可能であれば、次年度の後半に実施していく。
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