2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K01606
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
友田 康信 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (30437280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70378959)
DAVIS COLIN 同志社大学, 国際教育インスティテュート, 教授 (70432557)
紀國 洋 立命館大学, 経済学部, 教授 (90312339)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境政策 / 企業の製品開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「環境規制と企業の環境技術開発に関する経済理論研究」は、政府の環境規制の導入と、それに対応する企業の技術開発・製品デザインに関する理論研究を行うことを目的としている。この研究課題はいくつかの研究プロジェクトから構成されている。この研究課題は4年間のプロジェクトであり、3年目が終了した。 2021年度の大きな研究成果は、以下の論文が、国際的な査読付学術誌であるResource and Energy Economicsに掲載されたことである。この論文の2名の共著者は本研究課題の研究分担者である。 Hiroshi Kinokuni, Shuich Ohori, Yasunobu Tomoda (2021) "Advance disposal fee vs. disposal fee: A monopolistic producer's durability choice model," Resource and Energy Economics, 101242. この研究は、廃棄費用を徴収するタイミングが企業の耐久性選択に与える影響を分析したものであり、製品購入時に廃棄費用を徴収するadvance disposal fee (ADF) と、製品廃棄時に徴収するdisposal fee (DF) の比較を行った。わが国では、自動車にADFが、家電製品にDFが導入されている。DF制度のほうが家計の負担感は低いが、不法投棄を誘発する恐れがある。分析の結果、社会厚生の観点からどちらの制度が望ましいかについて一概には言えず、製品市場における企業間の競争の程度など、様々な要因の影響を受ける。しかし、廃棄物回収と適切な処理が技術的に難しく廃棄費用がかさむ場合は、ADFのほうが望ましいとの結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究を進めてきた結果、当初設定した研究プロジェクトの一部には新規性が乏しいことが判明し、その研究プロジェクトの微修正を行わなければならないなどの問題はあった。 とはいうものの、上記のように、これまでの研究成果の一部をまとめた論文を、国際的な査読付学術誌Resource and Energy Economicsに掲載することができた。 また、上記の論文以外にも、我々は今回の科研プロジェクトに関係する論文を完成させ、国際的な査読付き学術誌に投稿中である。この報告書を執筆時点で、その論文の掲載は決定していないものの、現在までの研究の進捗状況は、おおむね順調であると評価して差し支えないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、掲載が決まった論文以外にも、この研究課題に関するプロジェクトについて、研究分担者とともに研究を進めている。 上記のすでに掲載が決定した論文、現在掲載を目指している論文以外にも、この科研プロジェクトに関係する別の論文の作成を模索している。まだ論文の形になっていないものの、予備的な分析の結果、とても有望そうな結果を得ている。 今後は、現在投稿集の論文の完成を目指しつつ、新たな論文の作成を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初、この科研プロジェクトで得られた研究成果をしかるべき国際学会で報告し、得られたコメントをもとに研究を進めていく予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行が長引き、国際学会に参加することがとても困難になってしまった。 今後は新型コロナウイルス感染症の流行も終息に向かうと期待しており、それに合わせて積極的に学会参加などを行い、助成金を使用していきたい。
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