2019 Fiscal Year Research-status Report
職場のソーシャル・キャピタル、信頼の形成とその効果に関する総合的研究
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19K01607
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野田 知彦 大阪府立大学, 経済学研究科, 教授 (30258321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 大昌 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70567726)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 労使間の信頼関係 / 成果主義的賃金制度 / 労使協議制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、論文1本を日本語のジャーナルに掲載することができた。この論文では、日本企業の労使協議機関を労使間の信頼を形成するための制度としてとらえ、労使協議制の有無によって、成果主義賃金制度の導入が企業業績に与える影響が異なるかについて、実証的に検討した。独自に実施したアンケートデータと、財務データを結合したデータセットを用いた実証分析を行い、以下のような結果を得た。 労使協議制導入の内生性をコントロールするスイッチングモデルの結果、労使協議制のある企業のみで成果主義の導入が生産性に対して正の影響を与えているという結果が示された。さらに労使協議制のある企業では、従業員参加の制度を採用している場合に、成果主義を導入した場合でも、生産性へのマイナス効果が小さく、成果主義と制度的に相性の悪い制度が同時に存在することの悪影響が緩和される可能性があることがわかった。 これらの結果は、労使協議制度のある企業では、労使間の緊密な情報共有がなされている結果、従業員の要望に沿った制度の導入および、公正な成果主義的賃金制度の運用がなされており、従業員の生産性向上の努力が高まっているものと、解釈できる。そして、労使協後制度のある企業において成果主義的賃金制度がうまく機能する要因としては、労使協議制度が労使間の信頼関係を醸成しており、経営側が一方的な制度の導入や運用を行わないという考え方が従業員の間に定着していることが考えられよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の有名な学術ジャーナルに1本論文を掲載できたことから、計画は順調に進展しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コロナウイルスの状況にもよるが、環境が整い次第、海外学会で報告する。そして報告の実施未実施にかかわらず、海外ジャーナルへの論文の投稿を目指したい。
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Causes of Carryover |
海外の学会で報告する予定があったが、諸事情により実施できなかったため。また、論文の英文校正をする予定が本年度中には間に合わなかったため。
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Research Products
(1 results)