2021 Fiscal Year Research-status Report
航空会社間の競争と地方政府間の競争の関係及び空港管理主体の違いがもたらす効果
Project/Area Number |
19K01608
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 慎吾 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (20803521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 直史 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (30633945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感染症 / 移動 / 移動についての政策 / 航空産業 / 課税 / 補助金 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度及び2020年度前半までは地方財政と航空会社(航空業界)との関係性に注目し、特に空港運営主体の違いがどのような帰結をもたらすかについて研究していた。その結果、地方政府間では人を呼ぶこむための競争が生じるため空港使用料を過少に設定してしまうことや、民営化されている場合も空港使用料が低くなること等がわかった。しかし2020年度及び2021年度は当初の予定を変更し「感染症と移動に対する望ましい税金あるいは補助金」についての研究を行った。これまでの研究で構築してきたモデルでは人の移動と地方財政・中央財政の関係を分析することが出来ていたので、このモデルから出発し、感染に関する外部性をモデルに導入することで分析を行えた。 ある地域で感染症が流行した場合、医療費や感染症対策費などでその地域に財政的なダメージを与える。また、住民は「自地域で感染する」or「自地域で感染させる」か「他地域で感染する」or「他地域で感染させる」という可能性があり、このような可能性を踏まえ旅行するかしないかの選択を行っている。特に「感染させる」可能性については外部性であるため政府による何らかの介入が必要とされる。これらをモデル化し理論分析を行い、その結果に対して現実的なパラメーター値を用いた数値分析を行った。まず、中央政府が一律の課税あるいは補助金を移動に対して課税する状況を分析した。理論分析では移動に対して課税を行うべき状況と補助金を与えるべき状況が存在することを発見できた。例えば、各地域での感染者数と非感染者数の比率によるが、感染症の感染確率が低い地域への旅行を促したい場合には補助金が正当化される。そのため移動を制限するような課税と移動を促進するような補助金は状況に応じ適切に判断されるべきである。また、中央政府が地域毎に異なる課税あるいは補助金をかける状況の分析も行い、結果をまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
感染症と移動についての分析は学会でも報告し、査読付き英文学術誌への投稿を開始している。しかし、リジェクトに伴うレビュアー等のコメントに対し改訂作業を行っているため掲載まではまだ至っていない。また、航空産業と地方政府間の競争についての研究はやや遅れているが継続して研究を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
感染症と移動についての研究はSSRNに掲載している。現在はこれを元に改訂作業を行っており、終了次第すぐに査読付き英文学術誌への投稿を再開する。同時にこの分析を拡張した研究も準備している。航空産業と地方政府間の競争についての研究は上記の分析が終了次第取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会参加が感染症の影響により予定していたようにはできなかった。そのため支出が減り、次年度使用の必要性が生じた。2022年度は研究打ち合わせ、学会参加、研究遂行のために必要になる物品に支出する予定である。
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Research Products
(3 results)