2020 Fiscal Year Research-status Report
Geography and firm boundary
Project/Area Number |
19K01611
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大野 由香子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50615094)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地域労働市場 / 買い手独占 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特に、地域労働市場において、病院など雇用側からの買い手独占が存在するか否かをアメリカにおける看護師のデータを用いて、テストした。これまでと同様に、アメリカナースの地域労働市場が、州境界において部分的に分断される可能性に注目すると共に、様々な地域特性の影響をコントロールすることに注力した。州境界周辺地域において、州が異なっても、移動制限などは存在せず、個人の賃金に影響を与える可能性のある特性も共通していると考えられるが、通常、地域特性の影響をコントロールすると、同じ地域の変数に関してはその効果が地域固定効果に吸収されてしまうが、アメリカナース市場において、州境界周辺では、労働市場が分断されてしまうが、賃金に影響を与える他の要素は共通である可能性を利用して、分析を行った。分析方法はBlack(1999)も参考にした。分析結果は、現在のところ、一貫しておらず、更なる精査を進めている。 また、本年度度は、関連する過去の参考文献を精査し、我々と同じく地域労働市場における買い手独占の影響を研究するために賃金を被説明変数とする研究の存在と共に、雇用者数を被説明数とする研究も多くあることに注目し、Amerian Hospital Associationの病院データを購入し、現在データを分析用に編集しているところである。 Black, Sandra E. "Do Better Schools Matter? Parental Valuation of Elementary Education," The Quarterly Journal of Economics, Vol. 114, No. 2 (May, 1999), pp. 577-599
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度、新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限や、様々な生活の変化により、共同研究者などとの打ち合わせ、特に海外の共同研究者との打ち合わせが困難となった。そのため、比較的打ち合わせの容易であった看護師論文に焦点を当てて進めたが、他の研究の進捗はやや遅れている。大学業務において、2020年度初年に急にオンライン授業の用意を行わねばならず、全く予期せず、かなりの時間を割かなければなかったことも、この遅延の一因となった。未就学児の養育においても、コロナ感染拡大の影響で保育園に預けることが躊躇された時期もあり、通常の研究活動は2020年度は行うことが困難となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まだ通常通りの研究活動が行える状況とは言えないが、2020年度と比べ、現在は、オンライン授業の用意には費やさねばならない時間は縮小できた。2021年度は、看護師論文を、ワーキングペーパーにしたり、できれば投稿をしたいと考えている。ただ、American Hospital Associationのデータを用いた分析も行い、その結果、論文を合わせて出版したほうが良いと判断される場合は、2022年度に投稿を目指したいと考えている。
アメリカクレジットユニオンに関する論文に関しては、今年度一本は、投稿し、少なくとも、評価を頂いて、方向性を定めたい。
自動車データを用いた研究はまだデータの整理が完了していないが、2021年度初めにデータの整理を完成に近づけたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
本年度計画していた海外での海外研究者との打ち合わせが叶わなかったことが主に次年度使用額が生じた理由である。今年度は、そうした研究の遅れを補うために、データを更に拡充して分析を進めやすくするためデータ購入に使用させていただきたいと考えている。
|