2022 Fiscal Year Research-status Report
Geography and firm boundary
Project/Area Number |
19K01611
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大野 由香子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50615094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域労働市場 / 買い手独占 |
Outline of Annual Research Achievements |
A.地理的市場と企業の外注・内製の意思決定を通じた「企業境界」に関する研究 マークラインズのデータにおいて、サプライヤの本社の位置はデータセットに含まれるが、工場の場所は特定できない。これを克服する為、ウェブ検索によって、各サプライヤの工場の位置をできる限り特定し、データセットに追加することができた。今後、アンケート調査などの方法により、どの工場でどういうパーツを作成しているか特定することで、カーパーツの物理的な移動を把握するとともに、データにおけるカーモデル名の表記を統一することで、カーパーツがサプライヤ工場からメーカーの組み立て工場までの移動を把握したい。 B.地理的市場と企業の正規・非正規の労働投入意思決定による「企業境界」に関する研究 アメリカ看護師の地域労働市場における買い手独占の分析に関しては、州境界がアメリカ看護師の地理的市場を分断する可能性を利用し、地理的市場の大きさが看護師賃金に与える影響を識別した。看護師が自由に州間を行き来できる制度に参加している州と、そうでない州が存在することも分析に利用し、州境界において互いに接する州がどちらもこうした制度に参加している場合は、州境界によって看護師の地理的市場が分断され、その近辺において賃金が低く抑えられているという考えと一貫した分析結果が得らた。現在までの分析結果をもとに、「労働市場の買い手独占と賃金―米国の看護師データと州境界情報を用いた分析―」として、慶応義塾大学商学会ディスカッションペーパーとして公表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
車部品のサプライチェーンのデータでは、各データセットにおいて、サプライヤ名称の記述に統一性が不完全であり、データ整理に予定より時間がかかることが判明したが、これに関しては、リサーチアシスタントの研究補助を活用するなどし、ほぼ名称を統一することができた。ただ、カーモデルの名称についても表記の統一性が不完全であり、データを詳しく見までこのことについては認識できなかった為、データ整理の作業に計画以上の時間をより割かなければならなくなった。また、サプライヤの工場の場所に関しては、データを詳しく見る中で、把握した方がよい情報と考え、ウェブからの情報で補完したが、これに関しては、データ作成会社から購入することは叶わず、リサーチアシスタントと情報を収集し、当初予定したよりも時間を費やす必要が生じた。今年度はすべてのデータセットをつなぎ合わせてサプライチェーンを把握したい。
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Strategy for Future Research Activity |
車部品サプライチェーンの分析に関しては、データを完成させ、このデータの強みでもある各カーパーツごとの情報をもとにサプライヤーチェーンの概要をまとめたい。
アメリカナースの研究に関しては、ワーキングペーパーにまとめることができたが、より、頑健性の高い分析を追加して学術誌への投稿を目指したい。
日本の情勢労働市場の研究に関しても引き続き、公表できるようにまとめることを目指す。
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Causes of Carryover |
車部品のサプライチェーンを把握する為のデータ整理において予期せぬデータワークが必要であることが分かり、集中して作業をし、他のデータ購入は控えた。
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