2019 Fiscal Year Research-status Report
Challenges faced by women small business owners and policy interventions for their continued growth
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19K01615
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
二階堂 有子 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (20396899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30633474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インド / 女性企業家 / ジェンダー平等 / インフォーマル部門 / 宗教 / カースト / 包摂的な成長 / 経済実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済自由化以降、インドは高い経済成長率を記録しているが、むしろ小規模企業数は増大している。言及すべきは、これら企業の大半が自営業者で、労働法や社会保障の適用外という意味でインフォーマル部門であること、女性の経営する企業の急増がこの部門の拡大をもたらしていることである。近年様々な国や国際機関において、女性の経済エンパワメント促進の手段として女性の起業が注目されているが、インドの実態はまだ十分に研究されていない。本研究の目的は、インドの小規模女性企業家の特徴や実態を明らかにすることである。 起業の理由として、生計確立型(Out of necessity、例えば他の仕事がない、宗教やカーストの制約等)、事業機会型(Opportunity driven)が考えられるが、現在のインドの低い労働参加率を踏まえると、前者の要因が大きいように思われる。他方、インドの女性就業者の約80%が自営業主で、女性経営者は女性をより雇用する傾向にあることを踏まえれば、女性の経営する企業が持続的に成長すれば、雇用創造という短期的な効果ばかりでなく、女性の役割の強化を通じて、社会変革や包摂的な経済成長をもたらす可能性がある。 以上の背景から、本研究ではインド南部の女性企業家を対象にフィールド調査を実施することを通じて、女性企業家の社会・文化的背景と起業活動・企業業績との関係を明らかにする。フィールド調査は、質問票調査とラボ実験からなる。前者では、企業や企業家の属性のほか、起業理由や商慣習(会計帳簿や銀行口座の有無)や文化的な制約(単独行動の範囲、財産相続の有無)、設立時の資金源、一日の時間配分といった様々な変数を集める。ラボ実験では、リスク選好を測るくじ引き選択実験、信頼心や競争心の測定を行い、社会・文化的背景が異なる女性企業家間で選好や心理的モチベーションが異なるかどうか検定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パイロット調査をかねて、2019年8月に二階堂とPais(研究協力者)は、潜在的な起業家たるインドの大学生・大学院生を対象にフィールド調査を行った。具体的には、カルナータカ州のマイソールにある3大学の学生(男性79人、女性73人、合計152人)に対し、家族・友人関係など属性を把握するアンケート調査を行うとともにリスク選好や信頼、競争心を測る経済実験を行った。すでにバンガロールとマイソールの3大学で同様に実施した調査のデータと合わせ、潜在的な起業家の性別や社会・文化的背景がリスクや信頼、競争心に与える影響を実証分析している。 次に、前述のパイロット調査時の教訓・経験を踏まえて、2020年3月中旬に再びマイソールへ出張し、調査に協力してもらうNGO(Organization for the Development of People)を訪問し、当該NGOの概要や提供しているマイクロクレジット・起業支援プログラムについて調査を行う計画であった。 しかし、コロナウイルス発生に伴い、日本からインドへの渡航が禁止されたため、調査を延期せざるをえなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、2020年度に上記のNGOの協力の下、女性起業家・企業家を対象により包括的なアンケート調査と経済実験を行う予定であった。 しかし現時点で、日本からのインドへの入国は禁止されており、解除される見通しはたっていない。 当面の対応方法として、研究協力者のPais氏とZoom/Skypeを使い情報交換や研究の進捗を確認するほか、Pais氏が所長を務めるデリーの研究所に一部の研究を委託する方法が考えられる。
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Causes of Carryover |
2020年3月中旬にマイソールへ出張し、調査に協力してもらうNGO(Organization for the Development of People)を訪問し、当該NGOの概要や提供しているマイクロクレジット・起業支援プログラムについて調査を行う計画であった。しかし、コロナウイルス発生に伴い、日本からインドへの渡航が禁止されたため、延期せざるをえなくなったため。 2020年度は上記のNGOの協力の下、女性起業家・企業家を対象により包括的なアンケート調査と経済実験を行う計画であったが、日本からのインドへの入国はいまだ禁止されており、解除される見通しはたっていない。当面の対応方法として、研究協力者のPais氏とZoom/Skypeを使い情報交換や研究の進捗を確認するほか、Pais氏が所長を務めるデリーの研究所に一部の研究を委託する方法が考えられる。
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