2020 Fiscal Year Research-status Report
ジェネリック医薬品普及に向けたインセンティブ政策の経済分析
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19K01618
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
西川 浩平 摂南大学, 経済学部, 准教授 (60463204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インセンティブ政策 / ジェネリック医薬品 / 薬価制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はジェネリック医薬品の普及に向けて導入された、需要者側・供給者側へのインセンティブ政策に着目し、いずれの政策がジェネリック医薬品普及を牽引したかを定量的に明らかにするものである。日本ではジェネリック医薬品の使用割合を2020年9月までに80%以上へ引き上げることを目標としていたが、この数値目標を達成することができなかった。本研究はジェネリック医薬品の普及におけるインセンティブ政策の役割をより精緻な形で明らかにすることで、今後の政策を検討する上での有用なエビデンスを提供する。
研究の2年目となる本年度は、前年度に作成した抗精神病薬市場の医薬品レベルのデータセットを用いて、医薬品の価格である薬価と市場構造の関係について計量分析を行った。分析の結果、抗精神病薬については第1世代である定型抗精神病薬、第2世代である非定型抗精神病薬ともに、ジェネリック版が販売されることで、先発医薬品の薬価は低下することが示された。さらに非定型抗精神病薬では、競合する先発医薬品が新たに販売されることで各医薬品の薬価は低下し、その影響はジェネリック版の上市よりも大きいことを示唆する結果が得られた。
患者側のデータセットについては、レセプト情報・特定健診等情報の抽出に時間を要する関係で作成が大幅に遅れている。ただし、抽出完了後、早急にデータセットを整備し、需要関数の推定およびシミュレーションの実行に取り掛かれるよう、これまでの経験を活かし、レセプト情報・特定健診等情報に記載された情報を医薬品×都道府県×月別に集計するコンピュータのコードを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
分析に用いる患者レベルのデータセットについては、厚生労働省が提供するレセプト情報・特定健診等情報を利用する。当該情報の利用について厚生労働省の審査を通過し、利用の承諾を得ている。しかし、今般のコロナ禍の影響等でデータ抽出に時間を要しており、結果としてデータセットを完成させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
レセプト情報・特定健診等情報を用いて患者レベルのデータセットを早急に作成し、需要関数の推定およびシミュレーションを実行する。ただし、レセプト情報・特定健診等情報は膨大な情報量となるため、分析用データセットの作成および推定等に時間を要する可能性がある。このような状況に対応するため、無作為抽出を通じて得たサブサンプルを利用した分析の実行も検討している。
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Causes of Carryover |
予定していた出張が中止になったため。
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Research Products
(2 results)