2019 Fiscal Year Research-status Report
国際要素移動があるもとでの経済統合の影響に関する一般均衡分析
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19K01622
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
細江 宣裕 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (60313483)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 応用一般均衡モデル / 国際貿易 / 生産性 / 輸出管理 / 防衛の経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
応用一般均衡モデル等を用いて、国際貿易、生産性に関する複数の政策分析を行った。海外直接投資を取り込んだ世界貿易モデルのプロトタイプを作成した。それ以外に、農業・食品輸出促進政策の分析、最適関税・最適課税分析、2019年の日韓間の半導体原料となる化学製品の輸出管理に関する喫緊の課題を分析した。 たとえば、輸出管理に関する研究では、以下のような分析を行った。すなわち、経済産業省は2019 年7月に、それまで優遇措置として与えられていた韓国への一部化学製品の輸出手続きの簡素化を取りやめると発表した。これによって、韓国国内の半導体、電子製品の生産や世界市場への供給が滞ることが懸念されている。この研究では、世界貿易の応用一般均衡モデルを用い、化学製品に対する一種の輸出税の賦課や、韓国の電子製品産業の生産性の低下が生じた場合を考えて、その経済的影響をシミュレーション分析によって明らかにし、これによって生産性が低下する場合には、電子製品の国際市場や、韓国以外の国々の経済厚生に対する影響は全般に小さい一方、輸出税が課される形になると、貿易パタンは大きく変化し、日韓ともに経済厚生に対して同規模の悪影響が出ることが明らかにされた。ただし、両国間の経済規模の違いが大きいので、GDP比でみると日本が被る損失は、韓国のそれよりもかなり小さいことがわかった。 これらは、GRIPS Discussion Paperとして刊行、国内外の学会において口頭報告、または、原著論文として国際的な学術雑誌で公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい国際貿易データベース(GTAPデータベース)の公開に合わせて、予定していた海外直接投資分析のためのプロトタイプ・モデル構築ができた。また、これ以外にも、いくつかの研究プロジェクトについてジャーナル論文、ワーキング・ペーパーとして刊行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外直接投資を取り込んだ応用一般均衡モデルを完成させて、その内容をディスカッション・ペーパーとして公刊するとともに、国際学会で口頭報告することを計画している。また、ディスカッション・ペーパーとして公刊した農業政策分析に関する論文をジャーナル論文として公刊することを目指す。
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Causes of Carryover |
2020年1-3月に国内出張を行って統計分析に関する研究打ち合わせを行う予定であったが、コロナウィルス問題で取りやめになった。また、研究データの整理についても、いくつか進まなかった。これらについては、残った研究費を用いて翌年度に実施することにしたい。
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Research Products
(12 results)