2020 Fiscal Year Research-status Report
SES differences in earthquake damages and their mechanisms
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19K01625
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
萬行 英二 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30421233)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地震被害 / 社会経済ステータス / SES / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2015年にネパールで発生した最大震度8強の地震による人的物的被害を社会経済ステータス(SES)グループ別に分析した。また、SESグループ別の地震被害に違いが発生するメカニズムとして、高・低SESグループ間の居住家屋の頑強性の違いを検証した。 2015年の地震で震度4以上の揺れに襲われた2500弱のネパールの村町を分析し、これまでに以下の結果を確認または発見した。高・低SESグループの分類は、教育、家計資産、職業データから算出したスコアに基づく。 (1)人的物的被害は、震度が同じであれば、高SESグループよりも低SESグループで大きいことを確認。(2)高・低SESグループ間の人的物的被害の差は、震度が大きくなるにつれて拡大。(3)高・低SESグループともに、人的物的被害のうちの一部は、居住家屋の頑強性(建築資材)の違いを通じてもたらされた被害である。(4)震度が大きくなるにつれて、居住家屋の頑強性(建築資材)の違いを通じてもたらされた被害の割合は、高・低SESグループともに、高くなる。(5)居住家屋の頑強性(建築資材)の違いを通じてもたらされた被害の割合は、すべての震度において、高SESグループよりも低SESグループで高い。 これらの発見は、時間との闘いになる救命活動(救命資源)の優先地域を決定したり、家屋の耐震化などの自然災害対策のための補助金などの資源配分を効率化するために有益な情報となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に第1次ドラフトを完成したが、本研究の目的の一つであった、既存研究のサンプル選択の問題(既存文献では、地震被害があった、または大きかった家計のみをサンプルとして地震被害への影響を推定しており、推定値にバイアスがかかっていることが考えらえる)を整理し記述するのに時間を要している。他研究者からのフィードバックも現在までのところ、ほとんど得られていない。とは言え、すでに分析結果を得て、第1次ドラフトは完成しており、進捗状況はおおむね順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、既存研究のサンプル選択の問題の整理を継続し、その後、他研究者からのフィードバックを得るよう努力する。
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Causes of Carryover |
ドラフト改善に時間を要したこともあり、他研究者からフィードバックを得るために使用予定であった旅費が2020年度は未使用であった。2021年度は、追加分析に必要なデータ使用のためのライセンス購入に、2020年度の未使用額と2021年度の資金を充てる予定。
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