2021 Fiscal Year Research-status Report
新興国における都市・産業集積の役割:生産性,マークアップと参入退出
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19K01628
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
陳 光輝 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00188509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋口 善浩 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究員 (40432554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 集積 / 生産性 / マークアップ率 / 淘汰 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発経済学や地域経済学の分野で都市・産業集積はしばしば産業・企業育成の役割を期待されてきたが,集積の経済効果といわれてきたものは何であったのか。これについては個々の企業の生産性が引き上がるよりは,低生産性企業が競争で淘汰され,結果として生産性水準が上がったなどの可能性や物的生産性と価格支配力を区別する必要性も指摘されている。集積はどのような企業を成長させ,どのような企業を淘汰してきたのか。集積が産業・企業育成に果たす役割をどう評価すべきか。本研究は中国とインドネシアの企業・事業所データを利用し,集積地企業と非集積地企業の生産性,マークアップ率等を比較・分析することにより,その問いに答えようとしたものであり,中国の県レベル・製造業3~4桁分類産業の集積について,以下を明らかにできた。 * 集積地企業は物的生産性もマークアップ率も高い。 * 新規参入企業は集積地の方が規模は小さいが,生産性は高い。 * 集積地企業の平均操業年数は非集積地より大きいが,操業 3 年以下の企業は少ない。 集積の経済は物的生産性と価格支配力の両方を引き上げる方向に作用して小規模企業の市場参入を助けた。そして競争・淘汰作用も働いて産業育成に寄与したと考えられる。 インドネシア企業の生産性,マークアップ率については現在のところ,企業集積との有意な関連性が見つかっていない。共変量の調整等は十分であったか,データに問題はなかったかについて再検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により対面での打ち合わせ等ができなかった。インドネシアのデータについて,同国中央統計庁等への現地調査の必要性も感じたが,渡航はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシアについてデータ等の問題はなかったか,できる限りの情報収集と再検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により対面での打ち合わせ等ができず,現地調査もできなかった。現地調査は断念し,国内でできる限りの情報収集等を行っていく。
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Research Products
(2 results)