2019 Fiscal Year Research-status Report
Capital-Skill Complementarity in an Aging Society
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19K01640
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 圭司 追手門学院大学, 経済学部, 教授 (60208444)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 資本熟練補完性仮設 / 代替弾力性 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、日本における資本熟練補完性仮説の検証を行うことであるが、初年度は、当該領域における研究の進展について、文献、先行研究の検討を行うとともに、本研究目的の伏線となった日本の労働市場に関する実証分析結果について学会報告を行った。 前者の文献、先行研究については、たとえば、RIETIで公開されている一連の研究成果を手掛かりに、資本概念の取扱いそのものに、Intangible Capital を考慮する、大きな変化が生じていることを確認した。後者については、以下の学会報告を行った。Keiji Hashimoto, “Youth Unemployment with Different Indicators and Economic Growth in Japan,”29th EBES Conference, Oct.11, 2019 Lisbon, Portugalおよび Keiji Hashimoto, “Female Labor with Higher Education and Economic Growth in Japan: Prefecture Panel Data Approach,” The IAFOR International Conference on Education, Hawaii Convention Center, Jan. 11, 2020. 前者では、失業率の定義が必ずしも実態をとらえきれていないのではないかとの問題意識から、失業と経済成長の関係を探るにあたって、特に若年層に注目しながら、従来の失業率とともに失業比率(失業者と生産年齢人口の比率)を算定し、いわゆるオーカン法則の推定を行った。また、後者では日本では、女性の労働市場参加率が学歴が高くなるにつれて低下していることに注目し、それと経済成長との関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資本ストックを有形および無形資本投資の結果蓄積されるものととらえた場合、とくに無形資本の影響を考慮する場合には、これまでのような、生産過程での、資本設備と、性、学歴、経験年数などの特性で区分された労働との代替ないし補完関係を探るという分析枠組みでは、労働力と資本ストックとの代替ないし補完関係を必ずしもとらえきれないのではないか、あるいは、無形資本そのものに一部の労働力が含まれる場合には、前提としていた資本と労働の関係を再考しなければならないのではないか、という疑問が浮かび上がってきた。この点を整理し、研究の方向性を検討ないし再確認しなければならないと考えるに至っている。初年度は、先行研究の情報収集に終始しているのが現状であるが、今後の研究の進展に向けて、相当の文献と研究の流れを把握することに努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
当面の研究目標は、新しい資本ストックの考え方、すなわちIntangible Capital の概念の整理と、日本でのデータベースの利用可能性について検討を進めていく。少子高齢化という人口構造の変化とともに、高学歴化も含めた、労働の熟練の指標化に影響を与える各要因の変化、および、たとえばAIの導入、活用が労働力需要に及ぼす影響等への関心は持続的に保ちながら、統計資料の入手、利用可能性とともに、それらが経済成長にもたらす影響を実証的に明らかにすることを念頭において研究を進めていくこととする。
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