2019 Fiscal Year Research-status Report
アジア新興国におけるグローバル・バリュー・チェーンの展開と産業高度化に関する研究
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19K01645
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田口 博之 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70738020)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グローバル・バリュー・チェーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アジアにおいて、(1)グローバル・バリュー・チェーン(以下GVC)が展開するなかで、それを新興国の産業高度化にどのようにつなげていくか、(2)また、貿易自由化措置が進展するなかで、それがGVCの展開や新興国の経済成長にどのような影響を与えるか、を明らかにすることであった。 2019年度においては、(1)については、新興国の代表的な存在であるベトナムに焦点を当てて、GVCの進展を促している対内直接投資について経済成長や国内投資との関係を明らかにするとともに、GVCの進展のなかでベトナムが輸出における国内付加価値創出(産業高度化)への転換点にさしかかっていることを検証することができた。また、アジア諸国を対象に、付加価値貿易データを用いて、輸出における国内付加価値創出の源泉を包括的に明らかにし、裾野産業による付加価値創出の貢献が大きいことを実証的に明らかにした。 (2)の点については、南アジア諸国の自由貿易協定やASEANプラス3の自由貿易協定による貿易創出効果を検証し、併せて部材・部品貿易の活発化によるGVC進展への促進効果を明らかにした。また、今後のASEANにおける非関税障壁の撤廃がメンバー諸国の経済に与える影響について、計量モデルを用いて定量的に検証し、国内産業高度化の進展度合いにより、ASEAN先発国(タイ、マレーシア等)と後発国(カンボジア等)で差異のある自由化を推進する必要があることを提言した。 以上の研究成果については、著書や査読付き英文雑誌に掲載するとともに、国際的な学会等においても成果発表を行った(後述の研究発表参照)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画書に沿って、所要の研究を順調に推進し、その成果として、著書や査読付き英文雑誌への掲載や国際的な学会等における成果発表を実施することができた(後述の研究発表参照)。ただし、新型コロナウイルスの影響により年度末に予定していたアジア地域への現地調査が延期となったことを付記しておく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画書に沿って、引き続き所要の研究を着実に推進し、その成果として、査読付き英文雑誌への掲載や国際的な学会等における成果発表を実施していく方針である。また延期していたアジア地域への現地調査を再開し、研究内容の充実を図ることとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により年度末に予定していたアジア地域への現地調査が延期となった。
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Research Products
(9 results)